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定年後の再雇用制度について

Last Updated on 2023年9月14日 by

再雇用制度とは

年齢者雇用安定法第9条の定めにより、事業主は高年齢者雇用確保措置として「定年の廃止」「65歳までの定年の延長」「65歳までの継続雇用制度」のいずれかの措置を選択しなければなりません。

「継続雇用制度」には「再雇用制度」と「勤務延長制度」がありますが、多く採用されているのが、定年の年齢でいったん退職させ、新たな労働条件による雇用契約を結んで雇用を継続する「再雇用制度」です。以下では「再雇用制度」の手続きについて解説します。

再雇用制度が多く選択されている

定年後再雇用規程のサンプル

グループ会社での継続雇用

継続雇用制度の経過措置

継続雇用制度と再雇用制度の違いが分かりにくいのですが、厚生労働省のホームページ内の「高齢者の雇用」では『「継続雇用制度」とは、雇用している高年齢者を、本人が希望すれば定年後も引き続いて雇用する、「再雇用制度」などの制度をいいます。』と説明しています。つまり、再雇用制度は継続雇用制度の一つということです。

雇用契約書の取り交わし

新たに雇用する形になるので、賃金や労働時間が変わればもちろん、変わらなかったとしても、新たに、会社から労働条件を通知し、雇用契約書を取り交わす必要があります。

採用時の労働条件の通知

定年後再雇用後の待遇について

無期労働契約への転換の例外

労働者名簿に、変更事項の追記として、定年退職と再雇用を記載します。再雇用の際に新たに労働者名簿を調整してもかまいません。

社会保険の同日得喪の手続き

定年後再雇用の適用をうけ、それにより賃金が低下した場合には、被保険者資格喪失届および被保険者資格取得届を同時に、定年退職日の翌日付けで提出します。「同日得喪」という手続きです。

賃金が低下した場合、原則的な処理では、差し引かれる社会保険料はすぐには変わりません。通常の手続きでは4ヶ月目から社会保険料が変更になります。この手続きによって、社会保険の月額変更に該当することを待たずに、標準報酬月額を引き下げることができ、社会保険料負担を軽減することができます。

定年後再雇用時の社会保険料改定

社会保険の手続き(採用時)

社会保険の手続き(退職時)

その後、契約更新に伴いさらに賃金が下った場合も、何度でも同日得喪によって即時改定が可能です。随時改定のような2等級以上の変動という要件もありません。

資格取得時の標準報酬月額は、再雇用時の月の給与額を「保険料額表」に当てはめて記載します。

手続きの際は、定年退職したことが証明できる就業規則等の添付が必要です。

健康保険被保険者証は扶養者分も含めて、返却してもらいます。

あらためて資格取得の手続きが完了したら、新しい健康保険被保険者証が発行されるので従業員に渡します。必要に応じて「健康保険被保険者資格証明書」の交付手続きを行います。

健康保険被保険者資格証明書とは、健康保険被保険者証の発行までの間、保険証の代わりに利用できる証明書です。

被扶養者がいる場合は、被扶養者(異動)届・国民年金第3号被保険者資格取得等届を提出します。本人の印鑑、および扶養家族の状況によっては添付書類が必要になります。

再雇用後の1週間の所定労働時間と1ヶ月の所定労働日数が、他の一般従業員の4分の3未満になると社会保険の加入条件から外れるため、資格取得ができません。

雇用保険の手続き

雇用保険については、特に手続きは必要ありません。

ただし、労働条件の変更によって、所定労働時間が週20時間未満になる場合は、雇用保険の加入条件から外れるため、資格喪失届が必要になります。

高年齢雇用継続給付の手続き

再雇用や再就職で賃金が大きく下がったときに、労働者は雇用保険の高年齢雇用継続給付を受給することができます。この手続きは原則として事業主が行います。

初回の申請に必要な書類

1.雇用保険被保険者60歳到達時等賃金証明書
2.高年齢雇用継続給付受給資格確認票・(初回)高年齢雇用継続給付支給申請書(マイナンバーの記載が必要です)
3.賃金台帳、労働者名簿、出勤簿又はタイムカード等被保険者が雇用されていることの事実、賃金の支払状況及び賃金の額を証明することのできる書類
4.被保険者の運転免許証(コピーも可)など被保険者の年齢が確認できる官公署から発行・発給された身分証明書などの書類 

2回目以降の申請に必要な書類

1.高年齢雇用継続給付支給申請書(受給資格確認や前回の支給申請手続後に交付されます。)
2.賃金台帳、労働者名簿、出勤簿又はタイムカード等被保険者が雇用されていることの事実、賃金の支払状況及び賃金の額を証明することのできる書類


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