Last Updated on 2024年10月7日 by 勝
時間外割増賃金の計算手順
残業手当などの割増賃金の計算は、基礎単価(1時間あたりの賃金)に割増率を掛けて計算します。
関連記事:時間外割増賃金の基礎単価とは
時間給の割増賃金計算
時間給額×1.25(又は1.35など)×時間外労働時間
時間給制の場合は、時間給そのものが、1時間当たりの金額になります。
ただし、皆勤手当など加算するべき手当がある場合は加算しないといけません。
日給の割増賃金計算
(日給÷1日の所定労働時間+諸手当÷月平均所定労働時間)×1.25(又は1.35など)×時間外労働時間
日給制の場合は、日給を1日の所定労働時間数で割れば、1時間当たりの金額が出ます。
日によって所定労働時間数が異なることがあるので、通常は1週間における1日平均所定労働時間数で計算します。
月給の割増賃金計算
(基本給+諸手当)÷ 平均所定労働時間 ×1.25(又は1.35など)×時間外労働時間
平均所定労働時間の求め方
所定労働時間数は、暦日数や祝日数が異なるので毎月変動します。そこで、そこで1年間を平均して平均所定労働時間数を求めます。
まず、1月から12月までの月ごとに暦日数から休日を差し引き、その一年分を合計します。これが、1年間の労働日数です。このとき、年末年始休み、夏期休日などの会社特有の休みを忘れないでください。
次に、この1年間の労働日数に、8時間など会社の1日の所定労働時間数を掛けると、年間の所定労働時間数になります。
そして、この年間の所定労働時間数を12ヶ月で割ったものが、給与計算に用いる「1ヶ月の所定労働時間数」となります。
例えば、1日8時間労働で、週休2日制をとっており、正月休みは3日までと仮定すると、1月の所定労働時間は、31(暦数)−8(土日)−2(祝日)−2(会社の定め)=19日 となります。
このような計算を1月から12月までやって合計した数が255日だとすると、年間の所定労働時間は、255日×8時間=2,040時間 となります。
これを12で割れば、2,040時間÷12ヶ月=170時間 となり1ヶ月の所定労働時間数が算出されます。
割増賃金の計算例
基本給月額250,000円
職務手当25,000円
資格手当20,000円
家族手当10,000円
通勤手当15,000円
月額合計32万円
上記の賃金の労働者が1ヶ月30時間の時間外労働を行った場合、時間外賃金の割増賃金の単価は?
1年間における1ヶ月平均所定労働時間数は170時間とします。
基礎賃金から除外できる家族手当と通勤手当を引きます。(注意:名目が家族手当や通勤手当となっていても除外できない場合もあります。)
320,000−(10000+15000)=295,000円
よって
295,000円÷170時間×1.25=2,170
関連記事:給与計算の端数処理
法定労働時間を超えた分に支払う
労働基準法の定めでは、時間外割増賃金は、法定労働時間(1週40時間、又は、1日8時間)を超えて勤務したとき、および法定休日(週1日の休日、又は、4週4日の休日)に勤務したときに支払い義務が生じます。
もし、就業規則や雇用契約書で、労働基準法の定めより有利に定めている場合は、就業規則や雇用契約書の内容が優先して適用されます。
例えば、就業規則や雇用契約書で、所定労働時間を超えて勤務したときに時間外割増賃金を支払うと定めている場合は、法定労働時間内であっても時間外割増賃金の対象になります。
同様に、週休二日制の場合、片方の休日は労働基準法上は、休日割増を支払う義務はないのですが、就業規則や雇用契約書で、所定休日に勤務したときに休日割増を支払うことを定めている場合は、法定外休日の勤務であっても、休日割増手当を支払わなければなりません。
割増手当が重複する場合
時間外勤務をしていて、そのまま深夜に及んだ場合は、125%+25%=150%になります。
休日勤務をしていて、そのまま深夜に及んだ場合は、135%+25%=160%になります。
休日勤務をしていて、時間外勤務になった(1日8時間を超えた)場合は、135%+0%=135%です。休日勤務をしていて、時間外勤務になり、そのまま深夜に及んだ場合は、135%+0%+25%=160%になります。
休日勤務は時間外勤務に含まれるものと解釈してよいので、休日勤務と時間外勤務が重複したとしても、休日勤務の135%の割増賃金でよいのです。