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懲戒処分

降格処分をするときの注意点

Last Updated on 2024年6月22日 by

降格処分とは

懲戒処分の一つに降格処分というものがあります。従業員の役職や資格を下位のものに引き下げる処分です。

降格処分の内容

業務命令違反や勤怠不良などの服務上の違反行為があり、その内容が指導的立場にあるものとしてふさわしくない行為と認定されたときに、科せられる処分の一つです。

課長を平従業員にするなどということもありますが、一般的には、販売課長であった者に営業部長付を発令するなどのように、一時的にラインから外すことが行われます。

縦割りが基本である職場において降格は大変厳しい処分です。降格処分を適用せざるを得ないのか、他の処分では不足なのか十分な検討が必要です。

降格処分の基準

何をすれば降格処分の対象になるのかという基準を、就業規則で決めておく必要があります。

就業規則記載例
(降格処分)
第〇条 従業員が次のいずれかに該当するときは、降格処分を実施する。
(1)職務上の地位を利用してセクハラ・パワハラ等を行ったとき
(2)職務上の地位を利用して、不当に金銭等の利益を得たとき。
(3)当社の管理職としてふさわしくない言動があったとき
(4)その他、前各号に準ずる不都合な行為があったとき

例えば、上記のように定めておけば、セクハラをした上司を降格させることが可能になります。

規定の文章が、従業員が次のいずれかに該当するときは「懲戒処分」を実施する、となっていれば、懲戒処分をすることができますが、別のところで懲戒の種類として降格処分が規定されていなければなりません。

結果的に減給となる場合

降格処分を行えば、役職手当が変更されるなどの影響で給料が減ってしまうことがあります。

減給になってしまう場合は、注意が必要です。

賃金は使用者と労働者の労働契約を根拠に支給されるものなので、両者の合意がなければ減給できないのです。懲戒処分による場合でもこの原則は考慮しなければなりません。

ただし、例外的に役職手当の減額は認められます。

役職手当は、その職位にあることを条件として支給されるものなので、降格という懲戒処分の結果として減給になるのであれば、労働基準法に定める減給処分には該当しないとされているのです。

この場合、懲戒処分の一つとして降格するという就業規則の規定があり、懲戒処分の手続きが妥当で、行った非違行為に対して降格処分が相当であり、賃金規程等で役職と役職手当が結びついて規定されている必要があります。

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また、降格させたときは当然に職務内容や責任の程度が変更されなければなりません。職務内容や責任の程度が変わらない状態で役職手当を減額すれば労働基準法の減給処分にあたる恐れがあります。

人事制度上の降格との区別

知識や経験の不足、指導力不足、健康不調等により管理職として適格性に疑問が生じたとき、懲戒処分ではなく、人事異動という形で管理職からはずすことがあります。

このような人事権は使用者の裁量の範囲として広く認められています。しかし、行き過ぎはいけません。裁量権の濫用から多くのトラブルが発生しています。

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