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解雇

普通解雇をするときの注意点

Last Updated on 2023年2月28日 by

普通解雇とは

解雇は懲戒解雇だけではありません。懲戒ではない、つまり罰するのではないが辞めてもらいたい、というときにも解雇することがあります。

仕事への習熟が極端に遅いなどの能力不足、遅刻常習などの勤務態度不良、職場秩序をみだす行為などが対象になります。

解雇の条件があります

労働法は解雇自体を禁止していません。解雇権という言葉があるように、使用者には解雇する権利があると考えてもよいでしょう。

ただし、使用者の思い通りに解雇できるわけではありません。ささいな理由で解雇しようとしても認められません。労働契約法では次のように規定しています。

(解雇)
労働契約法第16条 解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、無効とする。

「客観的」というのは、第三者の目で見てもその通りだという意味です。「合理的な理由」というのは、証拠があるということです。

その従業員の行為は、第三者の目で見ても、つまり、誰が見ても、解雇にされても仕方がないほどのものであることが、証拠上明らかだという場合を条件の一つにしているのです。

そして「社会通念上相当」というのは、これまで、同様のことをした人に対して、世間ではどのように対処してきたか、これまでの裁判例と比較して重すぎる処分ではないかということです。これが条件の二つ目です。

気に入らない、仕事に向いていないという理由では解雇できません。能力不足だから解雇というのも多くは無理だと思われます。能力不足を育て上げるのが経営者の仕事です。

よって、「日頃の言動が気に入らないので、ちょっとしたミスを好機として解雇した」ようなケースは、全然客観的でなく、社会通念上も相当でないので、解雇は無効とされることになるでしょう。

能力不足であると経営者が判断しても、その判断が認められるとは限りません。裁判所が認める能力不足とは、著しく成績が不良なため、指導し、教育したが改善せず、もはや活用するところがなく、辞めてもらうより他に方法がないと判断される程度の能力不足のことです。

劣っているという程度で辞めさせることを裁判所は認めません。

解雇できない場合があります

労災で治療中の人や産前産後休業中の人はその休業期間と休業が終わってから30日間は解雇が認められません。この期間にある人に対しては、解雇するべき十分な理由があっても解雇できません。文字通り、解雇ができないのです。

次のような解雇は法律で禁止されています

解雇には予告が必要です

従業員を解雇しようとする場合、少なくとも30日前に予告しなければなりません。30日前の予告をしない場合、不足日数に対する平均賃金を支払わなければなりません。

懲戒解雇であっても、解雇予告または解雇予告手当の支払は必要です。例外として労働基準監督署長の認定を受けた場合は予告義務が除外されます。

解雇予告と解雇予告手当

求められれば証明書を発行しなければなりません

解雇の場合は、従業員は退職日までに、解雇の理由についての証明書を請求できます。これを一般に「解雇理由証明書」といいます。解雇理由証明書には、就業規則の第何条による解雇であるか、その規定に該当すると判断した事実関係について記載します。

解雇理由証明書について

また、解雇理由証明書の他に、従業員が、在職中の契約内容等について証明書の交付を請求したときは、いわゆる「退職証明書」を交付しなければなりません。

退職証明書について

金品の返還

7日以内に残余の賃金の支払いをし、その他返還すべき金品を返還しなければなりません。

帰郷の旅費

満18歳に満たない者を解雇した場合には、帰郷のための旅費を支給しなければなりません。

就業規則に規定する

ハードルが高くてもやむを得ず解雇に踏み切ることがあると思います。その場合、就業規則に解雇事由が明記されていないとさらに解雇が困難になります。

解雇|就業規則

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