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解雇

解雇制限について

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労働基準法による解雇制限

労災で治療中の人と産前産後休業中の人は、その休業期間と休業が終わってから30日間は解雇が認められません。

この期間にある人には、解雇するべき十分な理由があっても解雇できません。

労働基準法第19条
使用者は、労働者が業務上負傷し、又は疾病にかかり療養のために休業する期間及びその後30日間並びに産前産後の女性が第65条の規定(産前産後休業)によつて休業する期間及びその後30日間は、解雇してはならない。ただし、使用者が、第81条の規定によつて打切補償を支払う場合又は天災事変その他やむを得ない事由のために事業の継続が不可能となつた場合においては、この限りでない。
2 前項但書後段の場合においては、その事由について行政官庁の認定を受けなければならない。

e-Gov法令検索 2020/08/16

解雇制限の例外

上記の条文の中ほどに「ただし」とあります。「解雇してはならない」という原則のもとで2つの例外を規定しています。1つが打切補償を支払う場合、もう1つが天変地異などで事業が継続できない場合です。

打ち切り補償

打切補償とは、事業主が療養補償を支払う期間が3年に達しても、従業員の負傷・疾病が完治しない場合に、平均賃金の1200日分を支給することで、それ以降の補償責任を免れる制度のことを指します。業務上負傷や疾病の休業に適用され、当然、産前産後休業には無関係です。これを適用するには労働基準監督署長の認定が必要です。

打切補償について

天災事変

天災事変については、業務上負傷や疾病の休業、産前産後休業の両方に適用されます。天災事変とは大災害が想定されます。これを適用するには労働基準監督署長の認定が必要です。

休業する期間の意味

業務上の負傷などにより治療中であっても休業せずに働いている場合には、この解雇制限が適用されません。出産予定日前6週間(多胎妊娠の場合14週間)以内であっても、労働者が休まず働いている場合には解雇制限が適用されず、また、産後6週間を経過すれば労働者の請求により労働させることができるため、これ以後働いている場合も解雇制限が適用されません。

通勤災害に解雇制限は適用されない

労災保険は、「業務上災害」と「通勤災害」の場合に給付されますが、労働基準法が解雇を制限しているのは、「業務上災害」の場合だけです。「通勤災害」であれば、労災保険から給付を受けていても解雇制限の対象外です。

解雇予告はできるか

解雇制限期間後に解雇予告を発して、あるいは解雇予告手当を支払って解雇するのが通常の手続きですが、解雇制限期間中に解雇予告をすることがあります。

労働基準法第19条には、「解雇してはならない」と書いていますが、解雇予告にはふれていないからです。そこで、解雇制限期間終了後に効力が生じるように、前もって解雇予告をすることが可能だとされています。

解雇予告期間中に解雇制限事由が生じた場合は、たとえ予告期間が満了しても解雇制限期間中であれば解雇できません。ただし、解雇制限期間が経過した時点で予告期間が満了していれば解雇の効力が発生するとされています。

解雇予告と解雇予告手当

男女雇用機会均等法による解雇制限

男女雇用機会均等法は、妊娠・出産や産休を申請したことを理由に解雇などの不利益な扱いをしてはならないと定めています。

男女雇用機会均等法第9条
事業主は、女性労働者が婚姻し、妊娠し、又は出産したことを退職理由として予定する定めをしてはならない。
2 事業主は、女性労働者が婚姻したことを理由として、解雇してはならない。
3 事業主は、その雇用する女性労働者が妊娠したこと、出産したこと、産前産後休業を請求し、又は休業をしたことその他の妊娠又は出産に関する事由であつて厚生労働省令で定めるものを理由として、当該女性労働者に対して解雇その他不利益な取扱いをしてはならない。
4 妊娠中の女性労働者及び出産後1年を経過しない女性労働者に対してなされた解雇は、無効とする。ただし、事業主が当該解雇が前項に規定する事由を理由とする解雇でないことを証明したときは、この限りでない。

e-Gov法令検索 2020/08/16

男女雇用機会均等法第9条による解雇制限は、労働基準法の解雇禁止時期にあたらない期間にも適用されます。

違いは、下から2行目の「ただし」です。労働基準法はいかなる場合も解雇できませんが、男女雇用機会均等法は、解雇の理由が妊娠出産に関係ないと証明できる場合は解雇が可能だとしています。

労働契約法による解雇制限

労働基準法第19条や男女雇用機会均等法第9条をクリアしたとしても、それは最低条件であって、その上で、労働契約法第16条の規定や、関連する判例法理に基づいて妥当性を検討しなければなりません。

労働契約法第16条
解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、無効とする。

e-Gov法令検索 2020/08/16

つまり、どのようなケースであれ解雇は極力回避すべきで、やむを得ないときにのみ認められるというのが労働法の示すところです。