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解雇理由証明書について

Last Updated on 2023年10月23日 by

解雇理由証明書とは

解雇した従業員から解雇理由証明書を出せと言ってきました。解雇通知書は手交して口頭で解雇理由を伝えてありますが、解雇理由を文書にする義務はあるのでしょうか?

従業員から解雇理由の証明を求められたときは、遅滞なく証明書を交付する義務があります。労働基準法にその定めがあります。

(退職時等の証明)
労働基準法第22条 労働者が、退職の場合において、使用期間、業務の種類、その事業における地位、賃金又は退職の事由(退職の事由が解雇の場合にあつては、その理由を含む。)について証明書を請求した場合においては、使用者は、遅滞なくこれを交付しなければならない。
2 労働者が、第二十条第一項の解雇の予告がされた日から退職の日までの間において、当該解雇の理由について証明書を請求した場合においては、使用者は、遅滞なくこれを交付しなければならない。ただし、解雇の予告がされた日以後に労働者が当該解雇以外の事由により退職した場合においては、使用者は、当該退職の日以後、これを交付することを要しない。
3 前二項の証明書には、労働者の請求しない事項を記入してはならない。
4 使用者は、あらかじめ第三者と謀り、労働者の就業を妨げることを目的として、労働者の国籍、信条、社会的身分若しくは労働組合運動に関する通信をし、又は第一項及び第二項の証明書に秘密の記号を記入してはならない。

退職証明書

第1項は、いわゆる「退職証明書」についての規定です。

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解雇理由証明書

第2項が、いわゆる「解雇理由証明書」についての規定です。

解雇理由証明書には請求期限があります。「解雇の予告がされた日から退職の日までの間において」です。この期間内に請求されたときに交付義務があるので、退職後であればこの「解雇理由証明書」を交付する義務がありません。

ただし、第1項の「退職証明書」には請求時期の制限が無いので、解雇理由付きの退職証明書を請求されれば、解雇理由を示さなければならないので、実質的には期間制限に大きな意味はありません。

したがって、実務的には、「退職証明書」を発行し、その中に解雇理由を記載することが多いですが、従業員が「解雇理由証明書」を求めたときは、「解雇理由証明書」を交付しなければなりません。

請求されない事項について

第3項は、記載事項についての補足です。「退職証明書」「解雇理由証明書」共に、労働者が書かないでほしいと求めたことを書いてはいけません。

秘密の記号について

第4項は、「秘密の記号」を書いてはならないという規定です。労働者に不利益になることを、交付文書にこっそり潜りこませてはならない、という意味です。

解雇理由証明書の書き方

解雇理由証明書には、単に、何々の行為があったというだけでなく、就業規則の第何条による解雇であるかを記載し、その規定に該当すると判断した事実関係について記載します。

従業員が解雇理由証明書を求めている場合は、解雇に不満がある場合が多く、紛争になっていく可能性があります。会社としては、すでに紛争に入った心構えで、しっかり検討して書く必要があります。

解雇理由証明書の様式

労働基準法等に様式は定められていません。解雇理由は必須事項ですが、他に、文書のタイトル、証明書発行日、解雇予告日、宛名、会社の名称及び代表者名、押印が必要です。次の書式サンプルを参考にしてください。

書式:解雇理由証明書のサンプル


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