カテゴリー: 就業規則

  • 賃金の計算期間及び支払日|就業規則

    賃金の計算期間及び支払日について定める

    規定例

    賃金の支払日、その計算対象期間は就業規則または給与規程に定めなければなりません。

    (給与の計算期間及び支払日)
    第44条 給与の計算期間は、毎月〇日から翌月〇日までとし、〇日に締め切って計算する。

    2 給与は、毎月〇日に支払う。ただし、支払日が銀行の休業日にあたる場合は、その前日に繰り上げて支払う。

    3 給与の計算期間の中途で採用された従業員又は退職した従業員については、月額の賃金は当該計算期間の所定労働日数を基準に日割計算して支払う。

    ポイント

    賃金の計算期間及び支払日は、絶対的記載事項とされ、必ず就業規則に定めなければなりません。

    支払日が休日にあたる場合について定めておきましょう。

    就業規則に支払日が休日にあたる場合の定めがないときは、民法の規定に従って支払日が繰り下げられます(民法第百四十二条 期間の末日が日曜日、国民の祝日に関する法律に規定する休日その他の休日に当たるときは、その日に取引をしない慣習がある場合に限り、期間は、その翌日に満了する。)。

    就業規則に、支払日が休日にあたる場合は支払日を繰り上げると規定した場合は繰り上げて支払うことになります。多くの会社で繰り上げる規定を定めています。

    なお、給与の電子マネーによる支払いが認められるなど、給与支払いの環境が変わりつつあります。近い将来、休日にとらわれない本来の「一定期日払い」が行われる時代がくるかもしれません。

    デル就業規則

    厚生労働省モデル就業規則は賃金の計算期間及び支払日の部分を次のように示しています。

    (賃金の計算期間及び支払日)
    第44条  賃金は、毎月  日に締め切って計算し、翌月  日に支払う。ただし、支払日が休日に当たる場合は、その前日に繰り上げて支払う。
    2 前項の計算期間の中途で採用された労働者又は退職した労働者については、月額の賃金は当該計算期間の所定労働日数を基準に日割計算して支払う。


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  • 代替休暇|就業規則

    代替休暇について定める

    規定例

    (代替休暇)
    第40条 1か月の時間外労働が60時間を超えた従業員に対して、労使協定に基づき、次により代替休暇を与えるものとする。

    代替休暇をいつまでに取らなければならないかを定めます。

    2 代替休暇を取得できる期間は、直前の賃金締切日の翌日から起算して、翌々月の賃金締切日までの2か月とする。

    半日単位でも取得できることを定めます。

    3 代替休暇は、半日又は1日で与える。この場合の半日とは、午前(   :   ~   :   )又は午後(   :   ~   :   )のことをいう。

    4 代替休暇の時間数は、1か月60時間を超える時間外労働時間数に換算率を乗じた時間数とする。この場合において、換算率とは、代替休暇を取得しなかった場合に支払う割増賃金率50%から代替休暇を取得した場合に支払う割増賃金率35%を差し引いた15%とする。また、従業員が代替休暇を取得した場合は、取得した時間数を換算率(15%)で除した時間数については、15%の割増賃金の支払を要しないこととする。

    端数を繰り上げる規定です。

    5 代替休暇の時間数が半日又は1日に満たない端数がある場合には、その満たない部分についても有給の休暇とし、半日又は1日の休暇として与えることができる。ただし、前項の割増賃金の支払を要しないこととなる時間の計算においては、代替休暇の時間数を上回って休暇とした部分は算定せず、代替休暇の時間数のみで計算することとする。

    取得手続きについて定めます。

    6 代替休暇を取得しようとする者は、1か月に60時間を超える時間外労働を行った月の賃金締切日の翌日から5日以内に、会社に申し出ることとする。代替休暇取得日は、従業員の意向を踏まえ決定することとする。

    賃金計算について定めます。

    7 会社は、前項の申出があった場合には、支払うべき割増賃金額のうち代替休暇に代替される割増賃金額を除いた部分を通常の賃金支払日に支払うこととする。ただし、当該月の末日の翌日から2か月以内に取得がなされなかった場合には、取得がなされないことが確定した月に係る賃金支払日に残りの15%の割増賃金を支払うこととする。

    取得の申し出が無かった場合について定めます。

    8 会社は、第6項に定める期間内に申出がなかった場合は、当該月に行われた時間外労働に係る割増賃金の総額を通常の賃金支払日に支払うこととする。ただし、第6項に定める期間内に申出を行わなかった従業員から、第2項に定める代替休暇を取得できる期間内に改めて代替休暇の取得の申出があった場合には、会社の承認により、代替休暇を与えることができる。この場合、代替休暇の取得があった月に係る賃金支払日に過払分の賃金を清算するものとする。

    ポイント

    代替休暇制度とは、割増賃金のうち、時間外労働が60時間を超えた分の割増賃金を「お金」ではなく「休み」を与えることができる制度です。

    就業規則の定めの他に労使協定が必要です。

    関連記事:割増賃金に代えて有休を選択する代替休暇制度


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  • 賃金の非常時払い|就業規則

    賃金の非常時払いについて定める

    規定例

    (賃金の非常時払い)
    第46条 次のいずれかの場合に該当する従業員から請求があったときは、賃金支払日前であっても、既往の労働に対する賃金を支払う。
    ① 従業員本人が、やむを得ない事由によって帰郷する場合
    ② 従業員又はその収入によって生計を維持する者が、結婚又は死亡のために急な費用を必要とする場合
    ③ 従業員又はその収入によって生計を維持する者が、出産、疾病又は災害のために急な費用を必要とする場合
    ④ 退職又は解雇により離職した場合

    ポイント

    労働基準法は、非常の場合には、賃金の支払日前であっても支給しなけばならない旨を定めています。

    関連記事:賃金の前借と非常時払い

    モデル就業規則

    厚生労働省モデル就業規則は賃金の非常時払いの部分を次のように示しています。

    (賃金の非常時払い)
    第46条  労働者又はその収入によって生計を維持する者が、次のいずれかの場合に該当し、そのために労働者から請求があったときは、賃金支払日前であっても、既往の労働に対する賃金を支払う。
    ① やむを得ない事由によって1週間以上帰郷する場合
    ② 結婚又は死亡の場合
    ③ 出産、疾病又は災害の場合
    ④ 退職又は解雇により離職した場合

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  • 割増賃金|就業規則

    割増賃金について定める

    規定例

    (割増賃金)
    第38条 時間外労働等に対する割増賃金は、次の割増賃金率に基づき、次項の計算方法により支給する。
    (1)1か月の時間外労働の時間数に応じた割増賃金率は、次のとおりとする。この場合の1か月は毎月〇日を起算日とする。
    ① 時間外労働45時間以下・・・25%
    ② 時間外労働45時間超~60時間以下・・35%
    ③ 時間外労働60時間超・・・・・50%
    ④ ③の時間外労働のうち代替休暇を取得した時間・・・35%(残り15%の割増賃金は代替休暇に充当する。)
    (2)1年間の時間外労働の時間数が360時間を超えた部分については、40%とする。この場合の1年は毎年  月  日を起算日とする。
    (3)時間外労働に対する割増賃金の計算において、上記(1)及び(2)のいずれにも該当する時間外労働の時間数については、いずれか高い率で計算することとする。

    2 割増賃金は、次の算式により計算して支給する。
    ① 時間外労働の割増賃金
    基本給+役付手当+技能・資格手当+精勤手当を1か月の平均所定労働時間数で除し、前項の割増率を乗じ、さらに時間外労働の時間数を乗じる。
    ② 休日労働の割増賃金(法定休日に労働させた場合)
    基本給+役付手当+技能・資格手当+精勤手当を1か月の平均所定労働時間数で除し、割増率1.35を乗じ、さらに休日労働の時間数を乗じる。
    ③ 深夜労働の割増賃金(午後10時から午前5時までの間に労働させた場合)
    基本給+役付手当+技能・資格手当+精勤手当を1か月の平均所定労働時間数で除し、割増率0.25を乗じ、さらに深夜労働の時間数を乗じる。

    ポイント

    月60時間を超える時間外労働については、割増賃金率は5割以上です。中小企業については、令和5年(2023年)3月31日までは2割5分のままに猶予されていましたが、令和5年4月1日からは中小企業も同じ取り扱いになりました。

    関連記事:時間外労働等に対する割増賃金

    時間外労働や休日労働を命じるには、就業規則の定めだけでなく、労使協定を締結して労働基準監督署長に届出る必要があります。

    関連記事:時間外労働の手続き

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  • 昇給|就業規則

    昇給について定める

    規定例

    (昇給)
    第47条 昇給は毎年4月に行うものとする。ただし、会社の業績の著しい低下その他やむを得ない事由がある場合は昇給を行わないことがある。

    2 前項のほか、特別な事情があるときは臨時に昇給を行うことがある。

    3 各人の昇給額は、部門の業績及び人事考課の結果を考慮して決定する。この場合、部門の業績及び人事考課の結果によっては据え置きになることもある。

    ポイント

    業績が悪化しているときなどは昇給を見送ることがある旨も規定した方がよいでしょう。また、昇給額は部門の業績と人事考課に基づくことを規定します。

    関連記事:評価を昇給に反映する

    昇給に関する事項は、労働基準法第89条の規定により、必ず就業規則に記載しなければなりません。ただし、定期昇給やベースアップをしなければならないという義務はないので、書きぶりに注意が必要です。例えば、「毎年4月に1号俸昇給させる」という書き方だと具体的な昇給義務が生じます。「毎年4月に昇給を実施する」という書き方だと具体的な義務を負うとまでは言えませんが、具体的な履行を主張される余地を残します。そこで一般的には「毎年4月に昇給を実施することがある」とするか、上記例のように、但し書きで昇給を実施しない可能性を記載します。

    業績悪化などの正当な理由があれば「昇給を行わないことがある」を根拠に昇給を行わないことは可能ですが、さらに踏み込んで給料を減額することについては、就業規則に「賃金を減額することもある」との定めがあってもその規定だけを根拠に減額することはできません。

    なお、昇給を「定期昇給」と「ベースアップ」と分ける場合がありますが、この条項のうえでは「昇給」とまとめて表現しています。

    モデル就業規則

    厚生労働省モデル就業規則は昇給の部分を次のように示しています。

    (昇給)
    第47条  昇給は、勤務成績その他が良好な労働者について、毎年  月  日をもって行うものとする。ただし、会社の業績の著しい低下その他やむを得ない事由がある場合は、行わないことがある。
    2 顕著な業績が認められた労働者については、前項の規定にかかわらず昇給を行うことがある。
    3 昇給額は、労働者の勤務成績等を考慮して各人ごとに決定する。

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  • 技能・資格手当|就業規則

    技能資格手当について定める

    規定例

    (技能・資格手当)
    第36条 技能・資格手当は、従業員が、資格を有し、かつその資格を活用する業務に従事する期間について支給する。

    2 前項における支給対象となる資格および資格手当の月額は次の通りとする。
    ① 看護師 月額      円
    ② 介護福祉士 月額      円
    ③ 理学療法士 月額      円
    ④ 栄養士  月額      円

    ポイント

    支給対象になる資格は業種等によって異なります。自社の事業に必要な資格に対して適正な金額を決定します。

    関連記事:資格手当について

    モデル就業規則

    厚生労働省モデル就業規則は技能資格手当の部分を次のように示しています。

    (技能・資格手当)
    第36条  技能・資格手当は、次の資格を持ち、その職務に就く者に対し支給する。
    安全・衛生管理者(安全衛生推進者を含む。)  月額  円
    食品衛生責任者 月額  円
    調理師 月額  円
    栄養士 月額  円

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