カテゴリー: 就業規則

  • 休暇等の賃金|就業規則

    休暇等の賃金について定める

    規定例

    (休暇等の賃金)
    第41条 年次有給休暇の期間は、所定労働時間労働したときに支払われる通常の賃金を支払う。

    2 産前産後の休業期間、育児時間、生理休暇、母性健康管理のための休暇、育児・介護休業法に基づく育児休業期間、介護休業期間及び子の看護休暇期間、裁判員等のための休暇の期間は、出勤率の計算にあたっては出勤したものとみなし、その時間分の基本給は支給しない(or 通常の賃金を支払うこととする)。

    3 第9条に定める休職期間中は、原則として賃金を支給しない。

    ポイント

    有給休暇は有給が当然ですが、どのように計算して賃金を計算するのかを決めなければなりません。

    年次有給休暇の賃金は、①平均賃金、②所定労働時間働いたときに支払われる通常の賃金、③健康保険法第40条第1項に定める標準報酬月額の30分の1に相当する額(1の位は四捨五入)のいずれかの方法で支払わなければなりません。この規程例は最も一般的な②を採用した例です。

    また、いずれの方法で支払うのかは就業規則等に定めなければなりません(労基法第39条第7項)。もし、③を採用するのであれば就業規則の規程だけでなく労働者代表との書面による協定が必要です。

    産前産後の休業、育児休業、介護休業については健康保険や雇用保険から給付があるので、会社としては無給にしているところが多いようです。裁判員等は裁判所から日当がでるので無給にしているところが多いようです。

    結婚休暇、忌引休暇などを有給にするかどうかは、会社によって適用が分かれています。

    休暇の種類によって有給か無給かを定めます。有給休暇以外は、法律上は賃金を支給する義務がありません。ただし、これまで就業規則等で、あるいは慣例で賃金を支払っている休暇がある場合は、これを無給に変更することは不利益変更になるので簡単ではありません。

    休職期間中は無給とすることが多いようです。

    モデル就業規則

    厚生労働省モデル就業規則は休暇中の賃金の部分を次のように示しています。

    (休暇等の賃金)
    第41条  年次有給休暇の期間は、所定労働時間労働したときに支払われる通常の賃金を支払う。
    2 産前産後の休業期間、育児時間、生理休暇、母性健康管理のための休暇、育児・介護休業法に基づく育児休業期間、介護休業期間、子の看護休暇期間及び介護休暇期間、慶弔休暇、病気休暇、裁判員等のための休暇の期間は、無給 / 通常の賃金を支払うこと とする。
    3 第9条に定める休職期間中は、原則として賃金を支給しない(  か月までは  割を支給する)。


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  • 1年単位の変形労働時間制の賃金の精算|就業規則

    変形期間の途中入退社の賃金の精算について定める

    規定例

    1年単位の変形労働時間制をとっている場合の、途中入退社の場合の時間外労働割増賃金の精算方法を定める規定です。

    (1年単位の変形労働時間制の賃金の精算)
    第39条 1年単位の変形労働時間制の規定により労働させた期間が当該対象期間より短い従業員に対しては、その従業員が労働した期間を平均し1週間当たり40時間を超えて労働させた時間(前条の規定による割増賃金を支払った時間を除く。)については、前条の時間外労働についての割増賃金の算式中の割増率を0.25として計算した割増賃金を支払う。

    ポイント

    会社が当初設定した就業カレンダーの時間を超えた時間のすべてに割増賃金を支払うのであれば、多く支払うことになりますが退職する従業員から問題にされることはほとんどありません。その方が簡便です。しかし、このような規定がある場合には必ず精算計算をしましょう。

    一般的に、賃金の「精算」とは、翌月の給与支払いで過払いを控除するなど、金銭の過不足を補うことを意味します。一方、賃金の「清算」は、計算ミスなどを修正する場合などに用います。どちらも修正して本来の額を支払うことは同じですが、ここではネガティブな印象がある清算をさけて精算を用いました。


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  • 精勤手当|就業規則

    精勤手当について定める

    規定例

    (精勤手当)
    第37条 当該賃金計算期間における出勤成績に応じて精勤手当を支給する。
    ① 無欠勤の場合  月額      円
    ② 欠勤1日の場合  月額      円

    2 精勤手当の計算においては、次のいずれかに該当するときは出勤したものとみなす。
    ① 年次有給休暇を取得したとき
    ② 第〇条の慶弔休暇を取得したとき
    ③ 業務上の負傷又は疾病により療養のため休業したとき

    3 精勤手当の計算に当たっては、遅刻又は早退2回をもって、欠勤1日とみなす。

    ポイント

    一般の会社ではあまり見られませんが、工場や介護施設など、シフトを円滑にまわしたい事業場など支給しています。

    金額をあまり大きくすると病気なのに無理して出勤するなどの弊害があります。

    2項の規定は、有給休暇は出勤扱いしなければなりませんが、その他の休暇については会社が任意に決めることができます。

    3項の規定は、精勤手当についてはこのようなやり方が認められます。基本給を控除するときはきちんと分単位で計算しなければなりません。

    関連記事:精勤手当について

    モデル就業規則

    厚生労働省モデル就業規則は精勤手当の部分を次のように示しています。

    (精勤手当)
    第37条  精勤手当は、当該賃金計算期間における出勤成績により、次のとおり支給する。
    ① 無欠勤の場合       月額      円
    ② 欠勤1日以内の場合    月額      円
    2 前項の精勤手当の計算においては、次のいずれかに該当するときは出勤したものとみなす。
    ① 年次有給休暇を取得したとき
    ② 業務上の負傷又は疾病により療養のため休業したとき
    3 第1項の精勤手当の計算に当たっては、遅刻又は早退  回をもって、欠勤1日とみなす。

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  • 休業手当|就業規則

    会社都合休業の賃金について定める

    規定例

    (休業手当)
    第40条 会社側の都合により、所定労働日に労働者を休業させた場合は、平均賃金の6割を休業手当として支給する。

    2 1日のうちの一部を休業させた場合で、現実に勤務した時間に対して支払われた賃金が1日の平均賃金の6割に満たないときは、平均賃金の6割と支払われた賃金の差額を休業手当として支給する。

    ポイント

    使用者の責に帰すべき事由により、所定労働日に労働者を休業させる場合には、平均賃金の60%以上の休業手当を支払わなければなりません。

    解説記事:使用者の都合で休ませるときは休業手当を支給します

    健康状態の悪い従業員を帰宅させた場合も休業手当を支給しなければならない場合があります。

    関連記事:従業員がインフルエンザになったら

    モデル就業規則

    厚生労働省モデル就業規則は 臨時休業の賃金の部分を次のように示しています。

    (臨時休業の賃金)
    第42条  会社側の都合により、所定労働日に労働者を休業させた場合は、休業1日につき労基法第12条に規定する平均賃金の6割を支給する。この場合において、1日のうちの一部を休業させた場合にあっては、その日の賃金については労基法第26条に定めるところにより、平均賃金の6割に相当する賃金を保障する。

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  • 賞与|就業規則

    賞与について定める

    規定例

    (賞与)
    第48条 賞与は会社の業績等を勘案して、原則として年2回、7月と12月に支給する。ただし、会社の業績の著しい低下その他やむを得ない事由により、支給時期を延期し、又は支給しないことがある。

    2 賞与の額は会社の業績及び従業員の勤務成績などを考慮して各人ごとに決定する。

    3 賞与は支給日当日に会社に在籍しているものに支給する。ただし、死亡退職の場合は支給日当日の在籍を条件としない。

    ポイント

    賞与について定めるときは、支給しないことがある場合や、支給対象外の従業員がいる場合はその旨を具体的に記載しておく必要があります。

    第1項には、賞与を支給できない場合について記載しています。このような記載がなく、「支給する」という断定的な文言は、支給できなくなったときに問題になることがあります。

    支給時期については「年2回」などと回数だけの記載は不親切です。かと言って〇月〇日と日数を特定すると実務的に難しくなることがあります。回数と支給月を明示するのが一般的です。

    第2項は、賞与は評価と連動させる旨の規定です。

    第3項は、支給日に従業員であることを条件にする規定です。このような規定があれば、算定対象期間に在籍していても支給日に在職していなければ不支給にすることができます。なお、但し書きは、病気による死亡退職に対して支給日在籍を規定を適用するのは公序良俗に反するとして賞与請求が認められた裁判(内科事件 松山地裁 令和4年11月2日)があったことにより参考までに追加しました。

    支給対象者の定めも重要です。この規定例は正社員就業規則の一部である設定なので、支給対象者について書いていませんが、雇用形態が異なる従業員にも適用する就業規則であれば、短時間勤務や有期雇用の従業員について異なる扱いをするのであれば、その旨を明記しなければなりません。

    関連記事:賞与を支給するときはどういう点を注意すればよいですか?

    モデル就業規則

    厚生労働省モデル就業規則は賞与の部分を次のように示しています。

    (賞与)
    第48条  賞与は、原則として、下記の算定対象期間に在籍した労働者に対し、会社の業績等を勘案して下記の支給日に支給する。ただし、会社の業績の著しい低下その他やむを得ない事由により、支給時期を延期し、又は支給しないことがある。
    算定対象期間 支給日
      月  日から  月  日まで   月  日
      月  日から  月  日まで   月  日
    2 前項の賞与の額は、会社の業績及び労働者の勤務成績などを考慮して各人ごとに決定する。

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  • 賃金の支払と控除|就業規則

    賃金の支払と控除について定める

    規定例

    (賃金の支払と控除)
    第45条 給与は、従業員が同意した場合は、従業員本人の指定する金融機関の預貯金口座又は証券総合口座へ振込により全額を支払う。ただし、従業員が希望した場合には、通貨によって直接本人に全額を支払う。

    2 次に掲げるものは、賃金から控除する。
    ① 源泉所得税
    ② 住民税
    ③ 健康保険、厚生年金保険及び雇用保険の保険料の被保険者負担分
    ④ 労働者代表との書面による協定により賃金から控除することとした社宅入居料、財形貯蓄の積立金

    3 欠勤・休職等により社会保険料等の控除額が賃金の支給額を上回ったときは、従業員は、別途不足分を支払わなければならない。

    ポイント

    賃金は直接払いの原則があるので、銀行などへの振込で支払う場合には、その旨を就業規則に記載し、かつ、本人の同意を得る必要があります。

    源泉所得税、住民税、健康保険料等などの法律に定めがあるものは労使協定がなくても引き落とすことができます。それ以外の控除を行うときは労使協定が必要です。

    4項は、欠勤等で賃金が少なくなって社会保険料を引き落とせなくなったときに備えた規定です。

    関連記事:賃金の全額払いの原則

    モデル就業規則

    厚生労働省モデル就業規則は賃金の支払と控除の部分を次のように示しています。

    (賃金の支払と控除)
    第45条  賃金は、労働者に対し、通貨で直接その全額を支払う。
    2 前項について、労働者が同意した場合は、労働者本人の指定する金融機関の預貯金口座又は証券総合口座へ振込により賃金を支払う。
    3 次に掲げるものは、賃金から控除する。
    ① 源泉所得税
    ② 住民税
    ③ 健康保険、厚生年金保険及び雇用保険の保険料の被保険者負担分
    ④ 労働者代表との書面による協定により賃金から控除することとした社宅入居 料、財形貯蓄の積立金及び組合費

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