Last Updated on 2024年8月5日 by 勝
夜間の守衛を採用する
社員に交替でさせていた宿日直勤務を維持できなくなって、夜間の守衛業務をしてもらう人を雇うことがあります。
休日や夜間の来訪者や電話がほとんどない職場であれば、この守衛さんの仕事は夜間に数回程度の見回り以外は、ほとんど仕事らしい仕事はないでしょう。そのような勤務内容であれば、労働基準法に定める「断続的労働」が該当すると思われます。
断続的労働の許可申請
所轄労働基準監督署長に「監視・断続的労働に従事する者に対する適用除外許可」を申請し、許可を受けることができれば、労働基準法の労働時間、休憩、休日について適用除外になります。
警備については、通常の「監視・断続的労働に従事する者に対する適用除外許可」より審査条件がきつくなっています。
巡回対象について
夜間に数回程度の巡回であっても、精神的緊張の大きいものは許可されません。
広い施設を巡回するコンビナートなど、その構造上外部からの侵入を防止することが困難な駐車場など、高価な商品が陳列されている貴金属店・家電量販店などでは難しいでしょう。
危険な場所や環境が有害である場所も許可されません。
危険物保管庫、有害物質が置いてある研究所や工場などは難しいでしょう。
巡回回数は6回以内、一巡回の所要時間は1時間以内で合計4時間以内に納めなければなりません。
勤務時間について
連続12時間以内が基準です。夜間に継続して4時間以上の睡眠ができるときは16時間以内です。
インターバルについて
いわゆる「明け休み」を与えなければなりません。
勤務と勤務の間に10時間以上の時間を空ける必要があります。夜間に継続して4時間以上の睡眠が与えられるときは8時間以上の時間を空ける必要があります。
隔日勤務について
2人が一日おきに勤務する場合は、上述した条件と少し違います。
勤務中の夜間に継続して4時間以上の睡眠ができる場合は拘束時間は24時間以内。つまり、一日おきなら24時間の連続勤務をさせてもよいことになります。
この場合、巡回回数は10回以下、一巡回の所要時間は1時間以内で合計6時間以内。そして、勤務と勤務の間に20時間以上のインターバルが必要です。
休日について
「明け休み」とは別に「休日」を与えなければなりません。
休日は1ヶ月に2日以上。そして、休日は「明け休み」に24時間を加え継続したものです。つまり「明け休み+休日」にしなければなりません。
勤務場所について
勤務場所が一つでそこに常駐する場合させる必要があります。
仮眠設備について
充分な睡眠ができるような場所と寝具が備えつけられていることが必要です。
人が変われば許可を取り直す必要がある
上の要件をすべて満たしたうえで、労働基準監督署長に申請して許可を取らなければなりません。また、この許可は、労働者個人についての適用除外許可です。その業務について労働基準法の適用を除外するものではありません。つまり、その業務を行う者が変われば許可を取り直さなければなりません。
断続的労働に該当しない場合は
断続的労働に該当しない場合は、通常の雇用になります。日直代行としての守衛勤務であれば、勤務日を会社休日に限定した雇用契約を結ぶことになります。宿直代行の守衛勤務であれば、会社の終業時から翌朝の始業時までの時間帯を勤務時間とする雇用契約を結ぶことになるでしょう。
この場合に、注意しなければならないことがいくつかあります。
休憩時間の扱い
休憩は労働時間が6時間を超えたら45分間以上、8時間を超えたら60分間以上与えなければなりません。休憩時間は自由に使えなければなりません。持ち場を離れられない、電話が鳴ったら出なければならない、外出することができない、ということでは休憩時間を与えたことになりません。
つまり、守衛さんを一人だけ雇って日直代行や宿直代行をやってもらうには、「断続的労働」として許可を得るか、休憩時間は何があっても対応しなくてもよいという扱いにする以外は、複数人による勤務体制にしないと、労働基準法の休憩に関する規定に違反することになります。
仮眠時間の扱い
仮眠時間が、本当に寝ていてよいし起こすことはない、場合によっては施設外に出て寝てきてもよい、というものであれば、その仮眠時間は、休憩時間のような扱いとなり、労働時間にはカウントされません。
しかし、仮眠時間として設定されているが実際には起きて仕事をしたということであれば、それは労働時間です。
さらに、実際には起こされなかったが、起こされる可能性が高い状況での仮眠時間はどうでしょうか。これについては、「労働からの解放が保障されていない」ということで、労働時間だと判断(裁判例)される可能性が高いようです。
関連記事:仮眠時間は労働時間として扱うのか
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