資格手当について

賃金・賃金制度

資格手当とは

業務に関連する特定の資格を保有している従業員や、新たに取得した従業員に対して、企業が支給する金銭的な手当です。

通常、その資格がなければ会社の業務が成り立たない資格の保持者に支給されます。

資格保持者の基本給を大きく上げると基本給体系のバランスが崩れるため、資格手当で待遇を調整する場合もあります。その場合は一般的に資格手当の額が高額になる傾向があります。

資格手当の対象者と支給額

どの資格を支給対象にするかは、それぞれの会社の規程によります。資格の難易度、企業での業務への直結度、そして業界によって大きく異なります。

例えば、危険物取扱者の資格だと、会社によって3,000円~10,000円(相場)と開きがあります。資格によっては、数千円から数万円まで、十倍以上の開きがあることも珍しくありません。

就業規則規定例

資格手当の有無、対象となる資格、支給額、支給期間などは、必ず会社の就業規則や賃金規程に明記しなければなりません。

社会保険等の扱い

資格手当は、所得税では非課税ではありません。「給与所得」の一部として源泉徴収税の対象になります。

資格手当は、社会保険料の計算における標準報酬月額の対象になる賃金等に含まれます。

資格手当は、労働保険料の計算における賃金総額に含まれます。

資格手当は、基本給とともに、割増賃金の基礎にしなければなりません。

資格手当の検討事項

複数の資格を取得している場合の扱いを、決めておく必要があります。例えば、介護福祉士の資格がある人がケアマネジャーの資格をとって、介護の現場からはずれてケアプランの仕事に移った場合、両方の資格に対して支給するのか、資格を利用しているケアマネジャーの資格に対して支給するのか。

資格が必要部門から資格が必要ない部門に異動した場合はどうするか。

営業担当者が、衛生管理者の資格をとったが、すでに衛生管理者が在籍しているので、その資格は利用しない場合、資格手当の対象にするのか。

どちらにするかは、会社の決め方次第です。

一般的には、会社が活用させてもらう資格に対して資格手当を支給し、活用しないのであれば支給しない場合が多いようです。ただし、勉強した努力を認める意味合いから、受験費用の一部に相当する「合格お祝い金」などの一時金を支給する会社もあります。