カテゴリー
会社の運営

小さな支店の運営

Last Updated on 2023年10月22日 by

登記関係

本来は支店等を開設したときは登記をする必要がありますが、ごく小さな支店の場合に登記しないで運営することもあります。

登記していない場合、金融機関との取引、入札等への参加などの場面で不都合が生じることがあります。その場合、本社が直接取引することが必要になりますが、本社代表取締役から支店長への委任状を提示することで支店長名で取引が可能になる場合もあります。

労働保険関係

継続事業一括認可申請書

小さな支店であっても労働保険については「事業場毎」が原則です。本社と同じ業務を営んでいても、場所が違えば別の事業場です。

本社とは別に、当該支店から「労働保険の保険関係成立届」を労働基準監督署に提出する必要があります。

ただし、労働保険関係を本社でまとめて処理したいのであれば、条件次第でまとめることができます。これを「継続事業の一括」と呼びます。

これを行う場合は、まず、当該支店が保険関係成立届を提出して、その事業場の労働保険番号を取得します。その際、本社で「継続事業一括認可申請」を予定している旨を申し出ておきましょう。

その後に「継続事業一括認可・追加・取消申請書」という書類を本社を管轄する労働基準監督署に提出することで、継続事業の一括が可能になります。

なお、継続事業の一括によって、本社が申告した概算保険料額が2倍以上になる場合は「増加概算申告書」の手続きが必要です。

継続事業の一括ができる要件は以下の通りです。

1.継続事業(事業の期間が予定されている建設の事業、林業等以外の事業)であること。
2.それぞれの事業で、事業主が同一であること。
3.それぞれの事業で、「労災保険率表」による「事業の種類」が同じであること。

その際、労災保険料は業種毎に料率が定められているため「事業の種類」が違うと一括の処理はできません。本社は事務で支店は機械修理というケースは、労災のリスクが違うので保険料率も違います。一括できません。

ごく小規模の支店の場合、その場所での労働保険関係を成立させていないケースがあります。その場所で労災事故が起きた場合に問題となる可能性があるので、正式な手順をすることが大事です。

雇用保険事業所非該当承認申請書

雇用保険は事業所毎で行うことが原則です。本社で支店の分も手続きしたい場合は「雇用保険事業所非該当承認申請書」を支店を管轄するのハローワークに提出します。

雇用保険の事業所の非該当承認を受けられる要件は以下の通りです。

1.人事、経理、経営(又は業務)上の指揮監督、賃金の計算、支払等に独立性がないこと。
2.健康保険、労災保険等他の社会保険についても主たる事業所で一括処理されていること。
3.労働者名簿、賃金台帳等が主たる事業所に備付られていること。

労災保険と要件が違うので、業種が違って労働保険の一括ができなくても、雇用保険の事務をまとめて行える可能性があります。

社会保険関係

一括適用承認申請書

社会保険関係も事業所単位です。ただし、労働保険と少し違って、判断の基準は当該支店に人事管理や給与計算など、人事を管理すべき基本的な機能が備わっているかどうかで判断されます。

これらの機能が備わっていない支店は、そこに勤務する従業員を本社の従業員と同様に本社で手続きを行っても構いません。

当該支店に人事管理機能が備わっている場合も本社処理が認められることがあります。その場合は、当該支店が「健康保険・厚生年金保険新規適用届」を年金事務所に提出し、同時に「一括適用承認申請書」を提出します。承認されれば一括処理できます。

現金出納

小さな支店では、通常の支払は請求書を受け取って本社などの上位の事務所に送付して支払をしてもらうので、大きな現金預金は必要ありませんが、日常的に発生する細々とした支払いに備えて手元に置く現金が必要です。この場合の管理について解説します。

小口現金マニュアルのサンプル

物品購入

小さな支店では、備品等の金額がかさむものは本社等の上位の事務所に依頼して調達してもらうのが通常ですが、日常必要になる消耗品類などは支店で直接購入するほうが合理的な場合があります。この場合の管理について解説します。

消耗品の管理


関連記事:支店開設の手続き

会社事務入門会社の組織>このページ