Last Updated on 2023年10月28日 by 勝
適性・能力のみを選考の基準にする
採用選考は、応募者の基本的人権を尊重し、応募者の適性・能力のみを選考の基準とすることが大切です。よって、以下のようなことは、応募書類で記載を求めてもならず、面接で質問してもならないことになっています。面接担当者への周知が必要です。
■本人に責任のない事項
・本籍・出生地に関すること
・家族に関すること(職業、続柄、健康、地位、学歴、収入、資産など)
・住宅状況に関すること(間取り、部屋数、住宅の種類、近郊の施設など)
・生活環境に関すること(生い立ちなど)
■本来自由であるべき事項
・宗教に関すること
・支持政党に関すること
・人生観、生活信条に関すること
・尊敬する人物に関すること
・思想に関すること
・労働組合・学生運動など社会運動に関すること
・購読新聞・雑誌・愛読書などに関すること
採用選考チェックリスト
厚生労働省では、次のようなチェックリストを示して注意を呼びかけています。
□ 求人票は採用方針等に基づき、正しく記載されていますか。
□ 職務遂行能力を条件とした基準ができていますか。
□ 公正に評価する方法がとられていますか。
□ 応募者の資質や長所を見出すための配慮がされていますか。
□ 募集・応募書類は適正なものですか。
□ 画一的な健康診断を実施していますか。
□ 学科試験は、職務遂行に必要な専門知識をもっているかどうかを判断するために実施していますか。
□ 作文のテーマ「私の生い立ち」、「私の家庭」等本人の家庭環境にかかるものや、思想、信条を推測するためのものを課していますか。
□ 適性検査の実施やその判定及びその利用には、専門的知識のある人が当たっていますか。
□ 面接によって判断する目標が明らかになっていますか。
□ 外面的な容姿、態度等にとらわれず、客観的に判断できる方法、基準が確立されていますか。
□ 質問内容について十分検討がなされていますか。
□ 面接を受ける人の基本的人権が十分に尊重されていますか。
□ 面接担当者には、適切な人がなっていますか。
□ 家庭状況等の身元調査を実施していますか。
□ 公平な選考結果であるか、応募者の能力・適性を総合的に評価しているかについて、再点検していますか。
□ 不採用とする場合、その理由を明確にしていますか。
□ 採用についての承諾書に、事業主側の一方的な考え方による取消留保条件をつけていますか。
□ 入社の際、戸籍謄(抄)本、住民票等の提出を画一的に義務付けていますか。
面接者の教育が必要
人事担当者は勉強や経験によって、人物判断のポイントや、どのような質問をしてはいけないかという禁止事項が頭に入っていることが多いのですが、現場の幹部などが面接者として入ると、不慣れなため意図せず問題発言をしてしまうことがあります。
応募者を不快にさせる質問や発言は、企業イメージを傷つけることになります。面接者研修が実施できればよいのですが、できない場合でも、注意事項を記載した文書を作成し、面接前に読んでもらうくらいのことは必要だと思います。
質問事項の例が配布されると面接者としては助かります。各社の実情にあわせた質問集を作りましょう。
→採用面接マニュアルのサンプル
面接票を作成する
適正な面接を実施するために、着眼点や判断の基準がひと目でわかる面接票を配布することが有効です。面接票はあとでまとめて記載するのではなく、一人終了毎(記憶が薄れるので面接中及び面接直後に記載することが大事です)に記載してもらってすぐに回収しましょう。
面接票の例
面接票
面接担当者氏名
応募者氏名
項目 | 着眼点 | 評価点 |
意欲 | 応答に積極性を感じるか。投げやりな態度は見えなかったか。 | 1・2・3・4・5 |
迫力 | 目をそらして応答しないか。胸を張っているか。声量は普通以上あるか。 | 1・2・3・4・5 |
明朗 | 面談中笑顔が一度でもあったか。皮肉っぽい表情がでなかったか。 | 1・2・3・4・5 |
沈着 | 不必要にキョロキョロしないか。手などに無意味な動きが多くないか。 | 1・2・3・4・5 |
思考 | イエスノーだけでない答えがあったか。自ら感想や質問を述べたか。 | 1・2・3・4・5 |
外見 | きちんとした姿勢ができるか。髪型は当社として許容範囲か。清潔感があるか。 | 1・2・3・4・5 |
動作 | 歩く様子、椅子に腰かけた姿勢、立ち上がる動作はテキパキしているか。 | 1・2・3・4・5 |
次の面接票記載要領を読み、要領に沿った面接を行うこと。
記載要領
・この表を手に面談し面接中に感じたことを余白にメモする。
・評価数字が大きいほど高評価を表す。
・面接は、質問することが主体ではなく、応募者の様子を観察し、簡単な質問で応募者に語らせることが肝要である。
・面接者は質問をするのであって意見を言ってはならない。また、質問内容は本人の能力や適性を見るためのことに限定し、本人の考え方や、家族のことについて質問してはいけない。
・質問してよい事項は、勉強で得意な科目は?得意なスポーツは?どんな仕事をしたいと思っているか?長所はどんなところか?ITという言葉の意味は?発電の仕組みを簡単に言って?卒業課題はどんな?
・質問してはいけない事項は、どんな新聞(本)をよんでいるか?生まれはどこか?家族は何をしているか?最近の社会をどう思うか?趣味は何か?休日は何をしているか?
・この面接票は面接終了後、次の面接者が入る前に回収するので、面接をしながら記載し、終了時には各項目の評価点にマルを付け終わっている必要がある。