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会社の代表者変更の手続き

Last Updated on 2025年6月15日 by

株式会社の代表取締役が交代した際は、社内外でさまざまな手続きが必要です。主な手続きは以下の通りです。

登記関係

代表取締役が交代したら、2週間以内に法務局での登記申請が必要です。代表取締役以外の役員(取締役、監査役など)が交代した場合も同様に登記が必要です。

決定機関

  • 取締役会設置会社の場合: 取締役会で代表取締役を選定する決議が必要です。
  • 取締役会のない会社の場合:
    • 定款に定めがない場合は、株主総会で代表取締役を選定します。
    • 定款に取締役の互選の定めがある場合は、互選で代表取締役を決定します。

注意点

代表取締役は、会社の取締役の中から選ばれます。そのため、現在取締役ではない方が代表取締役になる場合は、まず株主総会で取締役に選任される必要があります。その後に、改めて代表取締役に選定される流れになります。

書類提出

決定後、登記申請に必要な書類を準備し、会社の所在地を管轄する法務局へ提出します。

「選任」と「選定」の使い分け

一般的に、「選任」は不特定多数の中から特定の役職に就ける行為(例:株主総会で取締役を選任する)を指し、「選定」は特定の範囲の中から特定の役職に就ける行為(例:取締役の中から代表取締役を選定する)を指します。

社会保険関係

会社の代表者が変更になった場合、健康保険・厚生年金保険については「事業所関係変更届」の提出が必要です。

  • 提出先: 会社の所在地を管轄する年金事務所
  • 提出期限: 対象となる事象が発生してから5日以内

注意点

  • 協会けんぽ加入の事業所: 年金事務所への届け出をすれば、協会けんぽへの届け出は不要です。
  • 健康保険組合加入の事業所: 健康保険組合と年金事務所の双方に届け出が必要です。

労働保険関係

労災保険と雇用保険は、それぞれ別の手続きが必要です。

労災保険

労働保険名称、所在地等変更届」を提出します。

  • 提出先: 会社の所在地を管轄する労働基準監督署
  • 提出期限: 変更の事象が発生した日の翌日から10日以内

雇用保険

事業主事業所各種変更届」を提出します。

  • 提出先: 会社の所在地を管轄するハローワーク
  • 提出期限: 変更の事象が発生した日の翌日から10日以内

税務関係

税務署と地方自治体にも変更の届け出が必要です。

国税

納税地を管轄する税務署に「異動事項に関する届出」を提出し、代表者名の変更を届け出ます。

地方税

都道府県税事務所市区町村に「法人異動届」を提出します。


その他の変更届・連絡

代表者名が使用されている様々な関係機関や取引先へ連絡・届け出が必要です。

  • 顧客・仕入先・外注先: 新代表者の就任を連絡し、今後の取引について案内します。
  • 加入している外部団体等: 必要に応じて変更手続きを行います。
  • 取引している金融機関: 銀行口座の名義変更など、金融機関ごとの手続きを確認し、行います。
  • 取引している生命保険会社、損害保険会社等: 契約内容によっては名義変更が必要な場合があります。
  • 賃貸の場合: 不動産管理会社に連絡し、必要に応じて賃貸借契約の名義変更などを行います。
  • 契約している電話会社、電気・ガス・水道等の各種公共料金: 契約者名の変更が必要な場合があります。
  • 社有車がある場合: 運輸支局で所有者情報の変更手続きを行います。
  • 各種許認可を受けている行政機関: 許認可の種類によっては、代表者変更の届け出が必要な場合があります。

社内手続き等

社内書類等も代表者名の変更に伴う修正が必要です。

  • 自社ウェブサイトやパンフレットの代表者名の変更
  • その他、代表者名が入っている印刷物(名刺、封筒、社判など)の変更
  • 社内規定や就業規則などの改定(代表者に関する記述がある場合)
  • 代表者印の変更(必要に応じて)

これらの手続きは多岐にわたりますので、変更が発生したら速やかに、漏れなく対応を進めることが重要です。不明な点があれば、それぞれの管轄機関や専門家(司法書士、税理士、社会保険労務士など)に相談することをおすすめします。


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