Last Updated on 2023年11月12日 by 勝
雇入れ時に説明すべきこと
(事業主が講ずる措置の内容等の説明)
パートタイム労働法第14条 事業主は、短時間・有期雇用労働者を雇い入れたときは、速やかに、第八条から前条までの規定により措置を講ずべきこととされている事項(労働基準法第十五条第一項に規定する厚生労働省令で定める事項及び特定事項を除く。)に関し講ずることとしている措置の内容について、当該短時間・有期雇用労働者に説明しなければならない。
第八条から前条までというのは次の通りです。
第八条(不合理な待遇の禁止)
第九条(通常の労働者と同視すべき短時間・有期雇用労働者に対する差別的取扱いの禁止)
第十条(賃金)
第十一条(教育訓練)
第十二条(福利厚生施設)
第十三条(通常の労働者への転換)
以上のことについて、講ずることとしている措置(やっていること)を説明しなくてはなりません。正社員の待遇と違いがある場合は、違いを設けている理由を説明する必要があります。
以上の説明は、雇い入れたときは、求めがなくてもしなければなりません。
労働基準法第十五条第一項に規定する厚生労働省令で定める事項及び特定事項を除く。とありますが、これは、労働基準法で定められている説明義務は、パートタイム・有期雇用労働法とは別に説明義務があるので除外しているのであり、説明しなくてもよいという意味ではありません。
説明を求められたときの説明
パートタイム労働法第14条2 事業主は、その雇用する短時間・有期雇用労働者から求めがあったときは、当該短時間・有期雇用労働者と通常の労働者との間の待遇の相違の内容及び理由並びに第六条から前条までの規定により措置を講ずべきこととされている事項に関する決定をするに当たって考慮した事項について、当該短時間・有期雇用労働者に説明しなければならない。
第六条から前条までというのは次の通りです。
以下の事項については、通常の労働者とどこが違うか、違う理由、考慮したことについて、質問があったら説明しなければなりません。
第六条(労働条件に関する文書の交付等)
第七条(就業規則の作成の手続)
第八条(不合理な待遇の禁止)
第九条(通常の労働者と同視すべき短時間・有期雇用労働者に対する差別的取扱いの禁止)
第十条(賃金)
第十一条(教育訓練)
第十二条(福利厚生施設)
第十三条(通常の労働者への転換)
納得するまで説明することまでは求められていませんが、納得を得られなければ紛争に発展する可能性があるので、できるだけ納得してもらえるように丁寧に説明する必要があります。
なお、短時間・有期雇用労働者が説明を求めたことを理由として不利益な取り扱いをすることは禁止されています。
説明文書の交付
様々なことを口頭だけで説明するのは不親切です。法律では文書の交付までは求めていませんが、概要だけでも文書を作って渡すようにしましょう。
説明文書のサンプル
令和○年○月○日
○○株式会社
総務部長○○○○
雇用管理の改善措置について
パートタイム・有期雇用労働者の雇用管理の改善措置の内容について、パートタイム労働法(短時間労働者及び有期雇用労働者の雇用管理の改善等に関する法律)に基づいて、下記のとおり説明します。
1 不合理な待遇・差別的取扱い
基本給、手当、賞与その他の待遇のそれぞれについて、業務の内容及び当該業務に伴う責任の程度等に照らして、通常の労働者との間で不合理な相違を設けません。
職務の内容が正社員と同一であるなどで正社員と同視すべき短時間・有期雇用労働者については、短時間・有期雇用労働者であることを理由として、基本給、賞与その他の待遇のそれぞれについて、差別的取扱いをいたしません。
2 賃金制度
1年以上勤続しているパートタイム・有期雇用労働者の基本給は、勤務成績、職務遂行能力を勘案して昇給を行います。昇給は原則として年1回4月に実施します。ただし、会社の業績によっては行わないことがあります。
3 教育訓練
安全衛生研修を入社初日の午後に実施します。
毎年10月に2時間の業務力向上研修を実施しています。
いずれの研修も有給です。
4 福利厚生
食堂、休憩室、更衣室は入社日から正社員と同様に利用できます。
勤務が1年を超えたパートタイム・有期雇用労働者には、正社員の慶弔見舞金規程を適用します。
月の勤務時間が正社員の2分の1以上となるパートタイム・有期雇用労働者は、会社の費用で有給扱いで定期健康診断を受診できます。
5 正社員転換推進措置
当社が正社員募集に係る求人票を出す場合は、その募集要項を事業所内掲示板に掲示します。募集要件に該当する場合は自由に応募できます。公正な選考を行います。応募について不利益な扱いをすることはありません。
説明について不明な点がありましたら、相談窓口までお問い合わせください。説明を求めたことを理由とした不利益な取扱いを行うことはないので安心してご相談ください。
相談窓口:○○課○○○○(内線○○○)