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役職手当について

Last Updated on 2024年9月25日 by

役職手当とは

役職手当は管理職手当ともいいます。会社で責任のある地位に就いたときに支給される手当です。

役職手当の意味

会社が大きくなってくると、係という小さな組織ができ、いくつかの係が課の下にまとめられます。さらに、いくつかの課は部の下にまとめられます。この係、課、部などの組織単位に置かれる責任者のことを管理職(役職)と呼びます。

管理職は、自分が管轄する係、課、部などに配属された部下を指示して、仕事を進める責任を担います。

当然、タダというわけにはいかず、その責任に対して、対価として支払われるのが「役職手当」です。

残業手当との関係

管理職手当の対象者であっても、労働基準法上の管理監督者でなければ、時間外労働等をした分は時間外割増賃金等を支払わなければなりません。課長以上には残業手当を支払わない、と一律に決めている会社は、労働基準法に違反しているおそれがあります。

以前は、課長以上には残業手当を支給しない、というルールがよくみられました。役職手当には残業手当分も含まれているという考え方からです。しかし、役職手当が残業手当を含むものであれば、残業手当としては〇〇円で、それは〇時間分の残業手当に相当する、ことを明示しなければ認められません。

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賃金に加算する手当

役職手当は基本給などと同様に、残業代計算の基礎単価に含まれます。なお、従業員が担う職務の責任や難易度に応じて支給される職務関連手当(危険手当、資格手当、勤務地手当等)も同様に基礎単価に含まれます。

役職手当は社会保険の標準報酬月額の計算に含まれる手当です。労働保険料の算定基礎に含まれる手当です。税法上は給与所得に該当するため所得税が加算されます。

役職手当の相場

役職手当をいくら払うべきかは、法律的な制限は何もないので、それぞれの会社によって違いがあります。

平社員のすぐ上にある役職は、一般的には「主任」というものです。手当の相場としては、月5000~10000位が多いでしょう。

主任の上は「係長」が一般的です。手当の相場としては、月10000~15000位が多いでしょう。

主任や係長の手当は、あまり多くないのが一般的です。これは、役職ではあるけれど、本格的な管理職の予備軍あるいは見習いのようなポジションに位置づけられているからです。

管理職としての実質的な権限が与えらるのは、課長からが多いようです。手当の相場も30000~50000円と多くなります。

課長の上は部長が一般的です。部長というのは、取締役のすぐ下、従業員としては一番上位のポストであることが多いです。手当の相場は、50000~100000円位になります。

規定例

役職手当の就業規則規定例:役職手当|就業規則

均等・均衡待遇について

同一労働同一賃金ガイドライン案(平成28年12月20日)

役職手当について、役職の内容、責任の範囲・程度に対して支給しようとする場合、無期雇用フルタイム労働者と同一の役職・責任に就く有期雇用労働者又はパートタイム労働者には、同一の支給をしなければならない。また、役職の内容、責任に一定の違いがある場合においては、その相違に応じた支給をしなければならない。

ということで、格差があってはならないのが原則ですが、以下は例外的に認められるケース、認められないケースの例示です。

問題とならない例

1 役職手当について役職の内容、責任の範囲・程度に対して支給しているA社において、無期雇用フルタイム労働者であるXと同一の役職名(例:店長)で役職の内容・責任も同一である役職に就く有期雇用労働者であるYに、同一の役職手当を支給している。

2 役職手当について役職の内容、責任の範囲・程度に対して支給しているB社において、無期雇用フルタイム労働者であるXと同一の役職名(例:店長)で役職の内容・責任も同じ(例:営業時間中の店舗の適切な運営)である役職に就く有期雇用パートタイム労働者であるYに、時間比例の役職手当(例えば、労働時間がフルタイム労働者の半分のパートタイム労働者には、フルタイム労働者の半分の役職手当)を支給している。

問題となる例

役職手当について役職の内容、責任の範囲・程度に対して支給しているC社において、無期雇用フルタイム労働者であるXと同一の役職名(例:店長)で役職の内容・責任も同一である役職に就く有期雇用労働者であるYに、Xに比べて低額の役職手当を支給している。


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