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年次有給休暇に支払われる賃金

Last Updated on 2022年11月6日 by

有給休暇中の給与の額

年次有給休暇とは、休んでいる日に対しても一定の日数までは給料が支払われる制度です。

使用者は年次有給休暇の賃金をどのように算定するか決めなければならず、決めた場合には就業規則に記載しなければなりません。就業規則への定め方については下記の記事を参考にしてください。

関連記事:休暇等の賃金|就業規則

労働基準法では、3つの方法が示されています。

1.所定労働時間働いたものとして支払われる通常の額
2.平均賃金
3.標準報酬日額

どれを採用するかによって有給休暇中の賃金は多少違いがでます。

どの方法を選択するかは就業規則などで定めて、一律に適用します。月によって変えたり、従業員によって別々の適用をしてはいけません。

通常の賃金

たとえば、月給30万円で、月の平均勤務日数が20日、1日の所定労働時間が8時間であれば、時給換算額は次のようになります。

30万円÷20日÷8時間=1875円

この例の所定労働時間は8時間なので、1875×8=15000

つまり、1日あたりの有給休暇中の給与は15000円です。

この額は、休まずに定時に出勤していた日に払われる額と同じです。

簡単にいうと、有給休暇を取得して休んだも、いつもどおりの給料を支払う」という取り扱いです。おそらく、この方法を選択している会社が一番多いと思います。

平均賃金

平均賃金方式は、有給休暇取得日の直前の締め日から直近3ヶ月の給料総額を、暦の総日数で割って計算する方法です。平均賃金の算定方法は労働基準法に定められています。

関連記事:平均賃金

上記の例で計算すると、

(30万+30万+30万)÷(31日+30日+31日)=9783円

この例では、「所定労働時間働いたものとして支払われる通常の額」と比べるとずい分低くなります。

ただし、平均賃金は、「通常の賃金」だけでなく、「残業代」などの月々変動する賃金も加算して計算しなければならないので、残業が多い職場では平均賃金方式の方が多くなる場合もあります。

標準報酬日額

社会保険料の計算に用いる「標準報酬月額」から日割計算して、その金額を支払う方法です。「標準報酬日額」を採用する場合は、就業規則に定めるだけでなく労使協定が必要になります。

関連記事:年次有給休暇の賃金を標準報酬日額で支払う場合の労使協定のサンプル

時給従業員の場合

賃金が時給で支払われるパート従業員等は、毎日同じ時間だけ働いているとは限りません。本人の希望や勤務シフトによって所定労働時間が一定していないことがあるので注意が必要です。

通常の賃金を用いる場合は、実務上は、あらかじめ有給休暇の計算に用いる所定労働時間数を労働契約で決めておくことが行われています。ただし、勤務の実態を反映しない時間数で運用するとトラブルの元になります。

正確さを重視するのであれば、平均賃金方式で行うのがよいでしょう。ただし、いちいち平均賃金を計算しなければなりません。

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