カテゴリー: 育児介護

  • 子の看護休暇制度のあらまし

    子の看護等休暇とは

    小学校3年生修了までの子を養育する労働者は、男女を問わず、申し出ることにより、病気やけがをした子の看護のために、あるいは予防接種や健康診断を受けさせるための休暇を取得することができます。

    子の看護等休暇に関するQ&A

    Q1: 子の看護等休暇とはどのような制度ですか?

    子の看護等休暇は、「小学校3年生修了まで」の子をを養育する労働者が、以下の理由で取得できる休暇です。

    • 負傷したり疾病にかかった子の世話。
    • 疾病の予防のための予防接種や健康診断を受けさせる際の世話。
    • 感染症に伴う学級閉鎖、入園式、入学式、卒園式への参加など、厚生労働省令で定める事由に伴う子の世話や教育・保育に関する行事への参加。

    令和7年4月1日施行の改正育児・介護休業法により、子の看護休暇の取得事由に「感染症に伴う学級閉鎖等」と「入園(入学)式、卒園式」が追加されました。この改正で看護以外に対象が拡大されたことに伴い、子の看護休暇は、子の看護「等」休暇に名称が変更になりました。

    なお、授業参観や運動会への参加は、法的には子の看護休暇の取得事由として認められていませんが、事業主が独自の判断で認めることは差し支えありません。

    事業主は、業務の繁忙等を理由に、子の看護等休暇の申出を拒むことはできません。

    この制度は業種や会社の規模に関係なく、すべての企業が実施しなければなりません。

    Q2: 取得できる日数と、取得単位について教えてください。

    日数

    1年度につき、子が1人の場合は5労働日、子が2人以上の場合は10労働日を限度として取得できます。

    取得単位

    1日単位または時間単位で取得が可能です。

    時間は1時間の整数倍です。労働者が希望する時間でとることができます。

    法令で認められる時間単位取得は、始業の時刻から連続し、又は終業の時刻まで連続するものなので、いわゆる「中抜け(勤務時間の途中に抜けて、終業時刻までにまた勤務に戻ってくること)」は想定されていません。しかし、厚生労働省は、法を上回る制度として、「中抜け」ありの休暇取得を認めるように配慮するよう求めています。

    フレックスタイム制と子の看護等休暇は別の制度で、その趣旨が異なるので、たとえフレックスタイム制度のような柔軟な労働時間制度が適用される労働者であっても、申出があった場合には、時間単位で取得できるようにしなければなりません。

    時間単位での取得が困難な業務

    労使協定を締結することにより、業務の性質や実施体制に照らして時間単位での取得が困難と認められる業務(例:国際路線等に就航する航空機の客室乗務員、長時間の移動を要する遠隔地での業務、流れ作業方式や交替制勤務による業務など)に従事する労働者は、時間単位での取得対象から除外することができます。ただし、この場合でも、1日単位での取得は拒否できません。

    労働者の子の症状や勤務状況が様々であることに対応するため、始業・終業時刻に連続しない時間単位での休暇取得や、半日単位での休暇取得を認めるなど、制度の弾力的な利用を可能にすることが望ましいとされています。

    Q3: 子の看護休暇の取得対象とならない労働者はいますか?

    労使協定を締結することにより、以下の労働者は子の看護休暇の対象から除外することが可能です。

    • 週の所定労働日数が2日以下の労働者
    • 上記Q2で述べた、業務の性質または業務の実施体制に照らして、時間単位で子の看護休暇を取得することが困難と認められる業務に従事する労働者(時間単位取得のみ除外)

    管理監督者には「労働時間」「休憩」「休日」に限って労働基準法の規定が適用されませんが、子の看護休暇については管理監督者であっても他の従業員と同様に取得することができます。

    関連記事:育児休業等の対象者と適用除外者

    Q4: 労働者からの申出方法にはどのようなものがありますか?

    子の看護休暇の申出は、書面によることが原則です。

    事業主が適当と認める場合には、労働者の希望により、FAX、電子メール(webメール)、SNS(LINE、Facebook等)、またはイントラネットを経由した専用のブラウザによる申出も可能です。

    ただし、FAX以外の方法では、労働者および事業主が送信した情報を出力して書面を作成できるものに限られます。

    法令では申出方法を書面等に限定していないため、事業主が特段の定めをしない場合は口頭でも可能です。事業主が申出方法を指定する場合は、あらかじめその方法を明らかにし、労働者に過重な負担を求めないよう配慮する必要があります。指定された方法によらない申出があった場合でも、必要な内容が伝わる限り、措置を実施する必要があります。

    当日、電話などで申し出た場合は、出勤後に速やかに書面を提出することが望ましいです。

    Q5: 労働者は申出時にどのような情報を提供する必要がありますか?また、証明書類の提出は求められますか?

    申出時には、申出の年月日、労働者の氏名、子の氏名・生年月日・続柄、子の看護を必要とする理由などの事項を申し出ることが必要です。

    事業主は、申出に係る子の妊娠、出生、養子縁組の事実、または申出書記載の事実を証明できる書類の提出を求めることができます。

    ただし、これらの証明書類の提出を子の看護休暇の制度利用の条件とすることはできません。労働者に過重な負担を求めないよう、事後の提出を可能とするなどの配慮が必要です。

    Q6: 子の看護休暇に関する事業主の主な義務は何ですか?

    子の看護休暇制度をあらかじめ導入し、規則を定める必要があります。制度の内容を周知する必要があります。

    雇用環境の整備

    労働者が子の看護休暇を円滑に取得できるようにするため、以下のいずれかの措置を講じなければなりません。
    ◦労働者に対する育児休業に係る研修の実施.
    ◦育児休業に関する相談体制の整備.
    ◦労働者の育児休業取得に関する事例の収集と提供.
    ◦労働者への育児休業に関する制度および取得促進方針の周知.

    不利益取扱いの禁止

    労働者が子の看護休暇の申出・取得をしたこと、または利用の意向を示したことを理由として、解雇、雇止め、減給、降格、不利益な配置変更、就業環境を害するなどの不利益な取扱いをすることは禁止されています。

    ハラスメントの防止

    職場における子の看護休暇の利用に関する言動に起因するハラスメントを防止するための雇用管理上の措置を講じる義務があります。

    Q7: 子の看護休暇に関するハラスメントや不利益取扱いには、具体的にどのような行為が該当しますか?

    不利益取扱い

    子の看護休暇の申出や取得を理由とした、解雇、雇止め(契約更新をしないこと)、あらかじめ明示された契約更新回数の上限引き下げ、退職や非正規雇用への契約変更の強要、自宅待機命令、労働者が希望する期間を超えた一方的な所定外労働制限・時間外労働制限・深夜業制限・短時間勤務制度の適用、降格、減給、賞与の不利益な算定、昇進・昇格の人事考課での不利益評価、不利益な配置転換、就業環境を害する行為(業務に従事させない、雑務専任など)が禁止されています。

    ただし、休業期間中に労務を提供しなかったことに対する賃金不払いや、勤務日数に応じた賞与・退職金の算定は、不利益な取扱いには該当しません。

    ハラスメント

    上司や同僚が、労働者の子の看護休暇の利用申出や利用を阻害する言動(例:「迷惑だ。自分なら取得しない。だからあなたもそうすべき。」といった発言)や、制度利用に伴う嫌がらせを行うことが該当します。客観的に見て業務上の必要性に基づく言動はハラスメントには該当しません。

    育児休業等の取得率向上のために積極的に取得を勧めること自体は問題ありませんが、人格を否定するような言動を伴って強制する行為はパワーハラスメントに該当する可能性があります。

    就業規則記載例

    子の看護休暇について、就業規則または育児介護休業規程についての定めは次のようになります。

    関連記事:子の看護休暇等についての育児介護休業規程記載例


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  • 介護休暇制度のあらまし

    介護休暇に関する人事担当向けQ&Aを以下に作成しました。

    介護休暇に関するQ&A

    Q1: 介護休暇とはどのような制度ですか?

    介護休暇は、要介護状態にある家族の介護や、それに付随する世話を行うために取得できる休暇制度です。具体的には、家族の通院の付き添いや、介護サービスを受けるために必要な手続きの代行などの世話も含まれます。

    介護休業とは別に取得できます。

    Q2: 介護休暇は年間何日まで取得できますか?

    要介護状態にある家族が1人の場合、1年度につき5労働日まで取得可能です。対象となる家族が2人以上いる場合は、1年度につき10労働日まで取得できます。

    Q3: 介護休暇は1日単位でしか取得できませんか?

    いいえ、介護休暇は1日単位だけでなく、時間単位(1日の所定労働時間の一部を連続して)で取得することも可能です。

    いわゆる「中抜け(勤務時間の途中に抜けて、終業時刻までにまた勤務に戻ってくること)」は想定されていません。しかし、厚生労働省は、法を上回る制度として、「中抜け」ありの休暇取得を認めるように配慮するよう求めています。

    時間単位で取得する場合は、始業時刻から連続するか、終業時刻まで連続するものでなければなりません。時間は1時間の整数倍です。

    時間単位で取得する際の1日あたりの時間数は、1日の所定労働時間数(日によって異なる場合は年間の平均所定労働時間数)を基準とし、1時間未満の端数があれば1時間に切り上げます。

    ただし、労使協定により、業務の性質や実施体制に照らして時間単位での介護休暇取得が困難と認められる業務(例:国際路線に就航する航空機の客室乗務員、長時間の移動を伴う遠隔地での業務、流れ作業方式や交代制勤務による業務など)に従事する労働者は、時間単位の取得対象から除外できる場合があります。

    このような場合でも、1日単位での取得は拒否できません。また、時間単位の取得ができない労働者に対しても、半日単位での休暇取得を認めるなど、制度の弾力的な利用を考慮することが望ましいとされています。

    Q4: 介護休暇を取得できる「家族」の範囲はどこまでですか?

    家族の範囲

    育児・介護休業法における対象家族は、育児休業と介護休業でそれぞれ定義が異なります。

    介護休暇の対象となる家族は、労働者の配偶者(事実婚を含む)、父母(養父母を含む)、子(養子を含む法律上の親子関係に限られます)、配偶者の父母、さらに、祖父母、兄弟姉妹、孫も対象となります。

    かつては、祖父母、兄弟姉妹、孫については「同居かつ扶養していること」が要件でしたが、平成29年(2017年)1月1日からこの要件は廃止され、同居・扶養の有無にかかわらず対象となりました。

    会社が上記以外の親族(例:叔父、叔母、曽祖父母など)を対象とすることを認め、就業規則などに定めている場合は、その方も社内制度上の対象とすることができます。

    要介護状態

    「要介護状態」とは、負傷、疾病、または身体上もしくは精神上の障害により、厚生労働省令で定める2週間以上の期間にわたり、常時介護が必要な状態を指します。

    Q5: 介護休暇の申請はどのように行えばよいですか?

    介護休暇の申請は、以下の事項を事業主に伝える必要があります。

    •申請年月日
    •申請する労働者の氏名
    •申請に係る対象家族の氏名と労働者との続柄
    •対象家族が要介護状態である事実
    •介護休暇を取得する年月日(時間単位で取得する場合は、開始および終了の年月日時)

    申請方法は、書面によることが基本ですが、事業主が適切と認める場合は、労働者の希望によりFAXや電子メール(イントラネット、Webメール、SNSなどを含む)でも可能です。ただし、電子メール等の場合は、労働者と事業主が送信情報を出力して書面を作成できることが条件です。

    Q6: 介護休暇を申請する際に、証明書類の提出は必要ですか?

    事業主は、申請に係る対象家族が要介護状態にあることなどを証明する書類(例:介護保険の要介護認定結果通知書、医師の診断書、障害支援区分認定通知書など)の提出を求めることができます。

    しかし、その提出を制度利用の条件とすることはできません。労働者に過重な負担を求めないよう、証明書類は事後提出も可能とすることが望ましいとされています。

    Q7: 事業主は介護休暇の申請を拒否できますか?

    原則として、事業主は労働者からの介護休暇の申請を拒否することはできません。

    ただし、週の所定労働日数が2日以下の労働者については、労使協定を締結することで介護休暇の対象から除外することが可能です。

    管理監督者には「労働時間」「休憩」「休日」に限って労働基準法の規定が適用されませんが、介護休暇はこれに該当しないので管理監督者であっても他の従業員と同様に取得することができます。

    Q8: 介護休暇の取得を理由に、労働者に不利益な扱いをすることは許されますか?

    いいえ、労働者が介護休暇の申請や取得を行ったこと、または介護休業等に関する相談を行ったこと、あるいはその相談への対応に協力して事実を述べたことを理由として、解雇その他の不利益な取り扱いをすることは法律で禁止されています。

    不利益な取り扱いには、解雇、有期雇用契約の更新拒否(雇止め)、契約更新回数の上限引き下げ、退職や非正規雇用への転換の強要、自宅待機命令、労働者が希望する期間を超えた所定外・時間外・深夜労働の強制、減給や賞与等における不利益な算定(労務提供がなかった期間を超える取り扱い)、昇進・昇格における不利益な評価(休業期間を超える選考対象期間の設定など)、不利益な配置転換(賃金、労働条件、通勤事情などを総合的に考慮)、業務に従事させない、専ら雑務に従事させるなど就業環境を害する行為が含まれます。

    Q9: 介護休暇が円滑に取得されるための「雇用環境の整備」とは、具体的に何をすればよいですか?

    事業主は、介護休業や介護休暇が円滑に取得できるよう、雇用環境の整備に努める義務があります。これには以下の措置が含まれます。

    •介護両立支援制度等に関する研修の実施。
    •介護両立支援制度等に関する相談体制の整備(相談窓口の設置)。
    •自社の労働者への介護休業・介護両立支援制度等の取得事例の収集・提供。
    •自社の労働者への介護休業・介護両立支援制度等の取得促進に関する方針の周知。

    これらの措置は、現在介護に直面している社員がいなくても、また、将来そのような社員を採用する予定がなくても、全ての事業主が実施する必要があります。これは、介護の対象家族の範囲が広いため、幅広い年齢層の労働者が介護の必要性に直面する可能性があるためです。

    研修は年度当初にまとめて実施したり、動画によるオンライン研修とすることも可能ですが、事業主の責任において労働者が研修を受講していることを担保する必要があります。単に資料や動画を掲載・配布するだけでは「研修を実施した」ことにはなりません。

    フレックスタイムとの関係

    厚生労働省のQ&Aによれば、フレックスタイム制と子の看護休暇・介護休暇は別の制度で、その趣旨が異なるので、たとえフレックスタイム制度のような柔軟な労働時間制度が適用される労働者であっても、申出があった場合には、時間単位で看護・介護休暇を取得できるようにしなければならない。としています。

    育児介護休業等規程記載例

    介護休暇について、就業規則または育児介護休業等規程への記載例は次のとおりです。

    関連記事:介護についての育児介護休業等規程記載例


    会社事務入門介護を支援する諸制度>このページ

  • 介護のための深夜業の制限

    原則として認めなければならない

    育児介護休業法には、対象家族を介護する労働者が請求した場合は、午後10時から午前5時までの間(深夜)に労働させてはいけないという規定があります。

    事業の正常な運営を妨げる場合はこの限りでない、とも定められていますが、「事業の正常な運営を妨げる場合」というのは非常に限定的に解釈しなければならないとされています。

    その労働者の所属する事業所を基準として、その労働者の担当する作業の内容、作業の繁閑、代行者の配置の難易等諸般の事情を考慮して客観的に判断することになります。「忙しいからだめだ」というだけでは通りません。対応できない理由を論理的に示す必要があります。

    対象になる労働者

    除外できる労働者

    期間を定めて使用する労働者も対象となります。

    ただし、次の労働者は請求できません。
    1.日々雇用される労働者
    2.継続して使用した期間が1年未満の労働者
    3.その他請求できないこととすることについて合理的な理由があると認められる労働者(1週間の所定労働日数が2日以下の者、所定労働時間のすべてが深夜に該当する者など)

    常態としてその家族を介護することができる同居の家族とは、16歳以上の同居の家族で以下のすべての条件に当てはまっている者を指します。

    1.深夜に就業していないこと(深夜における就業日数が1か月について3日以下の場合を含みます。)
    2.健康に問題(負傷、疾病などで対象家族の介護が困難)がない状態
    3.産前の場合は6週間(多胎妊娠の場合は14週間)以内に出産の予定がなく、産後の場合は出産から8週間を経過している

    管理監督者の扱い

    管理監督者には「労働時間」「休憩」「休日」に限って労働基準法の規定が適用されませんが、深夜業の制限については管理監督者であっても他の従業員と同様に適用を求めることができます。

    請求の手続き等

    深夜業の免除を請求する1ヶ月以上6ヶ月以内の期間(制限期間)について、その初日及び終了予定日を明らかにして、初日の1ヶ月前までに請求する必要があります。回数の制限はありません。

    事業主はこの請求に関する対象家族について、要介護状態であることなどを証明する書類の提出を求めることができます。

    請求がされた後、初日として日の前日までに対象家族の死亡その他の当該請求に係る家族の介護をしないこととなった事由が生じたときは、当該請求はされなかったものとみなされます。この場合、労働者は、その旨を遅滞なく会社に通知しなければなりません。

    次の場合には、制限期間は、その事情が生じた日に終了します。この場合、労働者は、その旨を遅滞なく通知しなければなりません。

    1.終了予定日とされた日の前日までに、対象家族の死亡その他の対象家族を介護しないこととなった事由が生じたこと。
    2.終了予定日とされた日の前日までに、子が小学校就学の始期に達したこと。
    3.終了予定日とされた日までに、請求をした労働者が、産前産後休業、育児休業又は介護休業が始まったこと。


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  • 育児のための深夜業の制限

    原則として認めなければならない

    育児介護休業法には、小学校就学の始期に達するまでの子を養育する労働者が請求した場合は、午後10時から午前5時までの間(深夜)に労働させてはいけないという規定があります。

    対象者

    対象にならない労働者

    期間を定めて使用する労働者も対象となります。

    ただし、次の労働者については請求を拒むことができます。

    1.日々雇用される労働者
    2.継続して使用した期間が1年未満の労働者
    3.その他請求できないこととすることについて合理的な理由があると認められる労働者(1週間の所定労働日数が2日以下の者、所定労働時間のすべてが深夜に該当する者など)

    管理監督者の扱い

    管理監督者には「労働時間」「休憩」「休日」に限って労働基準法の規定が適用されませんが、深夜業の制限については管理監督者であっても他の従業員と同様に適用を求めることができます。

    事業の正常な運営について

    法16条の8に「ただし、事業の正常な運営を妨げる場合は、この限りでない。」という規定があります。

    ただし、この規定は限定的に解釈する必要があります。「事業の正常な運営を妨げる場合」に該当するか否かは、その従業員の所属する事業所を基準として、その従業員の担当する作業の内容、作業の繁閑、代替要員の配置の難易等諸般の事情を考慮して客観的に判断しなければなりません。請求に対応できるように相当の努力をする必要があり、単に「忙しい」ということでは理由になりません。

    請求の手続き等

    深夜業の免除を請求する1ヶ月以上6ヶ月以内の期間(制限期間)について、その初日及び終了予定日を明らかにして、初日の1ヶ月前までに請求する必要があります。回数の制限はありません。

    請求がされた後、初日として日の前日までに、子の死亡その他の当該請求に係る子の養育をしないこととなった事由が生じたときは、当該請求はされなかったものとみなされます。この場合、労働者は、その旨を遅滞なく会社に通知しなければなりません。

    次の場合には、制限期間は、その事情が生じた日に終了します。この場合、労働者は、その旨を遅滞なく通知しなければなりません。

    1.終了予定日とされた日の前日までに、子の死亡その他の子を養育しないこととなった事由が生じたこと。
    2.終了予定日とされた日の前日までに、子が小学校就学の始期に達したこと。
    3.終了予定日とされた日までに、請求をした労働者が、産前産後休業、育児休業又は介護休業が始まったこと。


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  • 育児のための時間外労働の制限

    育児のための残業制限

    育児介護休業法に育児のための残業制限の規定があります。

    36協定によって時間外労働をさせることができる事業場において、小学校就学の始期に達するまでの子を養育する労働者、が請求した場合は、制限時間(1ヶ月について24時間、1年について150時間)を超えて労働時間を延長してはならないという規定です。

    時間外労働とは、法定労働時間を超える労働ということです。

    残業を一切しないさせないということではなく、長時間になることを制限している規定です。

    子が3歳になるまでは、「育児のための所定外時間労働の制限」を申し出することで、残業を一切免除してもらうことができます。

    関連記事:3歳に満たない子を養育する労働者が請求すれば残業を免除してもらえる

    子が3歳になり小学校に入るまでは、この「育児のための時間外労働の制限」を申し出ることで、残業の免除ではなく、「1か月について24時間、1年について150時間」を超えないように残業時間の制限をしてもらえることになります。

    事業の正常な運営について

    法17条に「ただし、事業の正常な運営を妨げる場合は、この限りでない。」という規定があります。

    この規定は限定的に解釈する必要があります。「事業の正常な運営を妨げる場合」に該当するか否かは、その従業員の所属する事業所を基準として、その従業員の担当する作業の内容、作業の繁閑、代替要員の配置の難易等諸般の事情を考慮して客観的に判断しなければなりません。請求に対応できるように相当の努力をする必要があり、単に「忙しい」ということでは理由になりません。

    対象者

    労使協定による制限

    労使協定の締結を条件として次の従業員からの請求を拒むことができます。

    1.入社1年未満の従業員
    2.1週間の所定労働日数が2日以下の従業員

    法定されているので、制限労働者の範囲を拡大することはできません。労働者に有利なように範囲を狭くすることはできます。

    管理監督者の扱い

    この扱いは、労働基準法による管理監督者には適用されません。ただし、労基法上の管理監督者に該当するかどうかの検討が必要です。

    関連記事:管理監督者の労働時間

    請求の手続き等

    時間外労働の制限を請求する1ヶ月以上1年以内の期間(制限期間)について、その初日及び終了予定日を明らかにして、初日の1ヶ月前までに請求する必要があります。

    制限期間は、所定外労働の制限期間と重複しないようにしなければなりません。

    請求がされた後、初日として日の前日までに、子の死亡その他の当該請求に係る子の養育をしないこととなった事由が生じたときは、当該請求は、されなかったものとみなされます。

    この場合、労働者は、当該事由が生じた旨を遅滞なく会社に通知しなければなりません。

    次の各号に掲げるいずれかの事情が生じた場合には、制限期間は当該事情が生じた日に終了することになります。

    1.終了予定日とされた日の前日までに、子の死亡その他の子を養育しないこととなった事由が生じたこと。この場合、労働者は、当該事由が生じた旨を遅滞なく通知しなければなりません。
    2.終了予定日とされた日の前日までに、子が小学校就学の始期に達したこと。
    3.終了予定日とされた日までに、請求をした労働者が、産前産後休業、育児休業又は介護休業が始まったこと。


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  • 介護のための時間外労働の制限

    介護する人の残業時間制限

    労働基準法で定められた法定労働時間(1日8時間、週40時間)を超えた時間外労働を制限してもらうことができます。

    育児介護休業法には、36協定によって時間外労働をさせることができる事業場において、対象家族を介護する労働者が請求した場合は、制限時間(1ヶ月について24時間、1年について150時間)を超えて労働時間を延長してはならないという規定があります。

    残業を一切しないさせないということではなく、長時間になることを制限している規定です。

    認めない場合

    事業に支障がある場合

    事業の正常な運営を妨げる場合はこの限りでない、とも定められていますが、「事業の正常な運営を妨げる場合」というのは非常に限定的に解釈しなければならないとされています。忙しいからだめだ、というだけでは通りません。

    その労働者の所属する事業所を基準として、その労働者の担当する作業の内容、作業の繁閑、代行者の配置の難易等諸般の事情を考慮して客観的に判断することになります。

    制度の対象

    除外できる従業員

    次の従業員からの請求を拒むことができます。(育児介護休業法第 17 条第1項及び第 18 条第1項並びに則第 52 条及び第 56 条)

    1.日雇従業員
    1.入社1年未満の従業員
    2.1週間の所定労働日数が2日以下の従業員

    法定されているので、制限労働者の範囲を拡大することはできません。労働者に有利なように範囲を狭くすることはできます。

    管理監督者の扱い

    この扱いは、労働基準法による管理監督者には適用されません。ただし、労基法上の管理監督者に該当するかどうかの検討が必要です。

    関連記事:管理監督者の労働時間

    請求の手続き等

    時間外労働の制限を請求する1ヶ月以上1年以内の期間(制限期間)について、その初日及び終了予定日を明らかにして、初日の1ヶ月前までに請求する必要があります。

    制限期間は、所定外労働の制限期間と重複しないようにしなければなりません。

    請求がされた後、初日として日の前日までに、対象家族の死亡その他の当該請求に係る対象家族の介護をしないこととなった事由が生じたときは、当該請求は、されなかったものとみなされます。この場合、労働者は、当該事由が生じた旨を遅滞なく会社に通知しなければなりません。

    次の各号に掲げるいずれかの事情が生じた場合には、制限期間は当該事情が生じた日に終了することになります。

    1.終了予定日とされた日の前日までに、対象家族の死亡その他の対象家族介護しないこととなった事由が生じたこと。この場合、労働者は、当該事由が生じた旨を遅滞なく通知しなければなりません。
    2.終了予定日とされた日までに、請求をした労働者が、産前産後休業、育児休業又は介護休業が始まったこと。


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