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賃金

賃金の全額払いの原則

Last Updated on 2024年11月2日 by

原則は控除禁止

賃金はその全額を支払わなければならないと労働基準法第24条に定めがあります。

これは、労働者を保護するため、様々な名目で賃金が減額されることを防止するための規定です。

全額払いの例外

賃金から一切差し引いてはならないというのがこの原則ですが、いくつかの例外が認められています。

法令による場合

法令で定められた項目は無条件に控除できます。

法令で定められた項目とは、所得税、住民税、厚生年金保険料、健康保険料、雇用保険料等の社会保険料です。

労使協定による場合

過半数組合または過半数代表者との書面による協定があるときは、その項目を控除することができます。

関連記事:労使協定で賃金から控除するときの注意点

関連記事:賃金控除に関する労使協定のサンプル

欠勤遅刻等の控除

賃金は、労働契約に基づいて従業員が会社に労働を提供し、その対価として支払われるものです。欠勤や遅刻や早退は、本来提供するはずだったその時間分の労働力を提供しなかったということなので、その時間分の給料の支払い義務は生じないということになります。労働を提供しなかった時間分の賃金控除は問題ありません。

関連記事:欠勤遅刻早退の控除計算

計算違いの清算

給与計算を間違えてしまい、その分を翌月の給与で調整することがあると思います。

この場合、過払いについては一定の条件のもとに翌月の給与で清算することができますが、支払不足があったときは翌月回しにできません。即時支払う必要があります。

関連記事:給与計算に間違いがあったときの清算方法

貸付金の返済分控除

従業員への貸付金の返済分を控除することについては注意が必要です。労使協定に貸付金の項目があることで自動的に返済分を控除することはできません。返済分を給料から控除することについて、個々の労働者の自由意思による同意が必要です。

返済の詳細を定めた契約書を作成し、賃金控除を承諾する旨については本人署名入りの承諾書をもらっておきましょう。

また、控除限度額は賃金額の4分の1までという裁判例があります。控除が認められる場合でも、生活できなくなることはよくないという主旨です。貸付金の返済は無理のない返済計画によって返済させましょう。

給料の前借り相殺

賃金の前借り分を次の賃金から差し引いた場合は、賃金の一部の支払日が早まっただけで、控除したわけではないので、全額払いの原則には抵触しません。

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