カテゴリー
賃金

基本給について

Last Updated on 2023年9月25日 by

基本給とは

基本給は、給与を構成する要素の中で一番大きなものです。

いわゆる正社員に支給される基本給は、就業規則の昇給の定めにしたがって、毎年増額していくのが一般的です。

基本給をいくらにするかは、各人の能力や貢献度などを検討して事業主が決定するものですが、考慮するべきことがいくつかあります。

法律違反に注意

最低賃金法

基本給の決定に当たっては最低賃金法の定めによって決定されている「最低賃金」を考慮しなければなりません。最低賃金を下回る賃金を支給した場合は法違反になり罰則が適用されます。

関連記事:最低賃金制度

男女差別の禁止

労働基準法第4条において、女性であることを理由にする賃金の差別を禁止しています。

関連記事:男女同一賃金の原則について

就業規則

賃金の昇給に関する事項は、必ず就業規則に記載しなければならないと定められています(労働基準法第89条)。

関連記事:昇給|就業規則

基本給決定のプロセス

考え方を整理する

基本給は、社員どうしが納得できるものでなければなりません。あとから入ってきた新人に、数年を経たベテラン以上の基本給を支払えば、ベテランのやる気を削ぐことは確実です。やってはいけないと言う事ではなく、合理的な理由が必要なのです。

中小企業の経営者の中には、各自の賃金を機密事項に指定して、比較されることを極端に嫌う人もいます。しかし、人の口に戸は立てられないものです。知られることを恐れるより、知られても平気な内容にするべきです。

会社の規模や景気の影響もあるので、他社との賃金格差はある程度やむを得ません。そのことは従業員も承知しているものです。しかし、内部の不明瞭な差別は納得することが難しいものです。合理的な理由を持った基本給決定に努めましょう。

基本給の決定には世間相場との比較が欠かせません。それぞれの会社の支払い能力が第一であることは確かです。だからと言って、同業他社より見劣りする状態が続くようでは、人材の流出や、やる気の低下を招くことは確実です。

賃金表を準備する

納得性のある基本給を決めるには「賃金表」が必要です。

モデル基本給表は、標準的な社員について、入社時から定年までの標準的な基本給の推移を表にしたものです。

モデル基本給表をグラフにして、実際に在籍する社員の基本給の分布と比べて下さい。実際にあるべき姿との乖離があるはずです。

在職している社員が、能力と貢献度が高いにもかかわらず、モデル基本給より低い場合には、正当な待遇を受けていないということになります。逆であれば、何らかの理由で待遇が高止まりしていることを意味します。

モデル基本給表を作成し、基本給決定の参考資料にすると、中途採用のときの基本給決定が合理的になります。

採用時の基本給

最初に決定しなければならないのは、新卒者の基本給です。その会社が高校卒業者を中心的に採用していれば、高卒18歳の基本給を決めます。その会社が大学卒業者を中心に採用しているのであれば、大卒22歳の基本給を決めます。

通常の年功賃金を採用するのであれば、決定した新卒基本給をもとに、その前後の年にはいくらの基本給にするか決めて数字を記入します。30歳のときはいくらにする、40歳のときはどうするなど、現在の貨幣価値基準で作成します。在籍している社員の実際の給料から、できるかけかけ離れないように注意して下さい。

評価を反映する

賃金表を作成したら、個々の従業員が賃金表のなかでどのように昇給していくかの基準を決めなければなりません。

基本的には評価制度によって仕事ぶりを正しく評価して昇給に反映しなければなりません。

評価は経営者が自分の目で見た結果に基づいて自ら決めることもできますが、一般的には、経営者が一人で判断するよりも、管理職を間に入れた数段階の評価制度の方が公平性が保たれるとされています。

関連記事:評価を昇給に反映する

正規非正規の待遇格差について

厚生労働省告示第430号「同一労働同一賃金ガイドライン(平成30年12月28日)」が出ています。

ガイドラインには、同一企業・団体におけるいわゆる正規雇用労働者と非正規雇用労働者との間で、待遇差が存在する場合に、いかなる待遇差が不合理なものであり、いかなる待遇差は不合理なものでないのかが示されています。

各企業においては、賃金を含む現状の待遇について、ガイドラインに沿った点検、是正が必要です


会社事務入門賃金・給与・報酬の基礎知識>このページ