Last Updated on 2024年11月17日 by 勝
年次有給休暇とは
有給休暇とは、休んでいる間も給与が支払われる休暇のことをいいます。年次というのは、休暇日数は毎年新たに指定されるので「年次」といいます。
年次有給休暇は、心身のリフレッシュや生活の充実、健康維持を目的として設けられた制度です。
労働基準法第39条で認められた労働者の権利なので、原則として労働者が希望する日に取得させなければなりません。
年次有給休暇を取得したことについて差別的取り扱いをしてはいけません。それには次の事項が含まれます。
□ 有給休暇は欠勤ではないので、精皆勤手当の減額をしてはならない。
□ 有給休暇は欠勤ではないので、昇給の査定、賞与の査定、昇格の査定等において不利に取り扱うことが禁止される。
年次有給休暇の条件
年次有給休暇は、入社から6か月が経過し、その間の出勤率が80%以上である場合、10日間付与されます。その後も勤続年数に応じて休暇日数が増加し、最大で年間20日間が付与されます。
雇用期間
条件の一つは雇用期間です。労働者が同じ企業に継続して6か月以上在籍していることが条件です。
出勤率
雇用期間内の出勤率が80%以上であることも取得条件のひとつです。
出勤率は、労働者が指定された勤務日数に対して実際にどれくらい出勤したかを示す指標で、以下の式で計算します。
出勤率 = (実際の出勤日数 ÷ 所定労働日数)× 100
所定労働日数には、通常の勤務日に加えて、年次有給休暇や産前産後休業、育児休業などの法律で認められた休暇が含まれます。一方で、欠勤した日は所定労働日数に含まれません。遅刻・早退も累積して1日の所定労働時間に達したときは計算上は勤務日から控除することができます。
対象者
年次有給休暇は、フルタイムの正社員だけでなく、一定の条件はありますがパートタイムやアルバイト労働者にも適用されます。
年次有給休暇各論
雇用形態別の注意点
通常の就業規則では、正社員の有給休暇について定めています。パートタイム等の社員がいる場合は、適用のしかたが若干違うので違う規程が必要です。
取得基準日
年次有給休暇は基準日に取得します。入社6ヶ月が基準日ですが、事務管理上の都合から基準日を揃えることもあります。
有給休暇の取得状況は法定の管理簿によって管理しなければなりません。
支払われる賃金
年次有給休暇に支払う賃金の額について解説します。就業規則などの定めにより、平均賃金、通常の賃金、労使協定に基づく健康保険法上の標準報酬日額相当額が支払われます。
取得率を上げるための制度
取得率を上げるために、労使協定により計画的付与の制度を作ることができます。
こま切れの時間で休みたい場合もあります。労使協定により時間単位の制度を作ることができます。
半日付与は労働基準法の定めにはありませんが、就業規則に定めることで半日単位の制度を作ることができます。
使用者には、最低5日以上の有給休暇を取得させる義務があります。
時季変更権
有給休暇の取得に対して、使用者は時季変更権を行使することができます。しかし、それは、やむを得ない場合に限られます。
退職時の年次有給休暇
有給休暇は原則として金銭で買い上げることができませんがいくつかの例外があります。
退職時に有給休暇が残っている場合の処理方法を解説します。
QアンドA
- 年次有給休暇を強制的に取得させることができますか?
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年5日の有給休暇について従業員にほぼ強制的に取得させることができます。しかし、全ての有給休暇を強制的に取得させることはできません。従業員が自主的に取得することが基本です。
- 年次有給休暇を消化しないとどうなりますか?
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年次有給休暇には時効があります。付与された日から2年経過すると消滅します。
- 年次有給休暇は退職日を超えて取得することができますか?
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退職日を超えて取得することはできません。退職日までに消化しきれない年次有給休暇は請求権が消滅します。
- 退職日までは残った有給休暇を全て使うので出勤しないと言い出した従業員がいます。認めなくてはなりませんか。
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従業員からの年次有給休暇の請求に対し、会社には「時季変更権」がありますが、退職する日を超えて時季を指定することはできません。法律的には認めなくてはならないという結論になります。
- 年次有給休暇を買い取ってもよいですか?
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年次有給休暇の買い取りは禁止されています。ただし、退職時の未消化分や法定付与日数を超える日数分については、例外的に買い取りが認められる場合があります。
- 当社は従業員1名の零細企業ですが年次有給休暇を与えなくてはなりませんか??
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年次有給休暇は、事業場の業種、規模に関係なく、全ての事業場の労働者に適用されます。従業員数が1名であっても年次有給休暇の制度を設けないことはできません。
- 短時間労働者の場合はどのように付与されますか?
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所定労働時間や日数に応じて比例付与されます。
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