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労働契約

労働契約の基礎知識

Last Updated on 2023年10月22日 by

労働契約とは

労働者と使用者が労働条件に合意して契約することを労働契約といいます。

労働契約に際して、使用者は労働者に対して、労働時間や業務内容などの必要事項を明記した労働条件通知書を提示して労働者から合意を得て、その内容で労働契約書を締結します。

労働契約と類似する用語に雇用契約があります。労働契約は労働契約法などの労働法で使われる用語で、雇用契約は民法で使われる用語です。同じものと考えてよいとされています。

労働契約については労働契約法に定めがあります。

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労働契約の原則

労働契約法には労働契約の5原則が示されています。(労働契約法第3条)

労使対等の原則
均衡考慮の原則
仕事と生活の調和への配慮の原則
信義誠実の原則
権利濫用の禁止の原則

労使対等の原則

労働契約は、労働者及び使用者が対等の立場における合意に基づいて締結し、又は変更すべきものとする。

一般的に使用者と労働者では、どうしても使用者が強い立場にありますが、そうであってはならないという規定です。

均衡考慮の原則

労働契約は、労働者及び使用者が、就業の実態に応じて、均衡を考慮しつつ締結し、又は変更すべきものとする。

「就業の実態」というのは、仕事の内容、配置転換の有無、責任の大きさ、能力、勤続年数、勤務時間などのことです。就業の実態に応じて待遇(賃金等)を決めるという原則を示しています。

その上で、均衡を考慮することを求めています。この場合「均衡」とは、同じ事業場で勤務している他の労働者との待遇にバランスがとれていることを意味します。正社員やパートという就業形態の違いでなく、職務の内容で処遇を判断するという意味になります。

仕事と生活の調和への配慮の原則

労働契約は、労働者及び使用者が仕事と生活の調和にも配慮しつつ締結し、又は変更すべきものとする。

「仕事」は会社での仕事ですが、「生活」は家庭でやるべきこと、具体的には子育てや介護などが想定されています。両立は大変難しいことなので、労働契約を結ぶときに、使用者は両立できるように配慮するべきだという規定です。

信義誠実の原則

労働者及び使用者は、労働契約を遵守するとともに、信義に従い誠実に、権利を行使し、及び義務を履行しなければならない。

民法第1条第2項の「権利の行使及び義務の履行は、信義に従い誠実におこなわなければならない。」と通じる規定です。

お互いに信頼を裏切ることなく誠意をもって行動しましょう、という意味です。

権利濫用の禁止の原則

労働者及び使用者は、労働契約に基づく権利の行使に当たっては、それを濫用することがあってはならない。

権利濫用とは、法律用語では、外形的には権利の行使であるが、具体的状況および実際の結果に照らすと、権利の行使として法律上認めることが妥当でないと判断される場合に用いられます。

つまり、簡単に言うとやり過ぎはだめだということですが、どこからが濫用なのかはその事案ごとに判断されるため、専門家以外の者には分かりにくい概念です。

安全配慮義務

(労働契約法第5条)

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労働契約の成立

(労働契約法第6条)

労働契約法第6条で「労働契約は、労働者が使用者に使用されて労働し、使用者がこれに対して賃金を支払うことについて、労働者及び使用者が合意することによって成立する」と定められています。

これをもう少しかみくだいて言えば、労働者は雇用主から給与を受け取る代わりに仕事をすることを約束し、一方で雇用主は労働者に仕事をしてもらう代わりに給与を支払うことについて、話がまとまったときに、労働契約が結ばれたことになる、という意味です。

そして、ここでいう「仕事」と「賃金」はあいまいなものではだめで、具体的に「どのような仕事」であるかが明らかで、「いくらの賃金」なのか明確である必要があります。

雇用契約締結前でも労働契約が成立する

労働契約とは使用者と労働者の双方が合意した時点で成立します。つまり、「あなたを採用します」といういわゆる「採用内定」も採用の意思を伝えて相手が採用されることを承諾した時点で労働契約が成立しています。

裁判例でも、企業からの募集に対して求職者が応募する行為が「労働契約の申込」にあたり、採用内定を出すという行為が「労働契約の承諾」との判決が出ています。

正式には、内定の段階では単なる労働契約ではなく、就労の始期と解約権留保の2つの条件が付いた「始期付解約権留保付労働契約」が成立していることになります。

条件付きではありますが、労働契約の一つであるため、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合には、内定取り消し行為は解雇とみなされて、通常の解雇とほぼ同様の対応が必要になります。

口約束も労働契約になる

雇用契約書に記載されていない合意も労働契約を構成します。

例えば、採用面接の時に「私は親の面倒を見なければならないので残業はできません」と述べて、そのうえで採用されたのであれば、使用者は残業しないという申し出に合意したことになるので、雇用契約書に記載していないとしても残業を命じることはできません。

労働契約の内容

(労働契約法第7条)

労働者と雇用契約を締結する際に、労働契約の内容となる労働条件を個別に決めていない場合には、就業規則で定めた労働条件をもって、労働契約の内容となる労働条件を補充してもよいと認めている規定です。

従来から、労働契約に詳細を記載せず、詳細な部分は就業規則による(あるいは法令による)という方法が中小企業を中心に行われてきました。

労働契約法第7条は、こうした運用がされたときの、労働契約と就業規則の法的関係を明らかにした規定です。

法律による契約内容の制限

契約には「契約自由の原則」があります。契約自由の原則とは、当事者双方の自由な意思によって結ばれた契約は、法律に反しない限りその自由を尊重するという原則です。

ただし、内容が公序良俗に違反する場合は、その契約は無効となります。民法第90条は、公の秩序または善良の風俗に反する法律行為は無効と定めています。

また、労働基準法と労働組合法の定めにより次の内容による労働契約が禁止されています。

賠償予定

労働基準法16条は、労働者が契約期間の途中で退職した際に違約金を支払うことを定めたり、社内の備品などを壊した場合に損害賠償を支払うよう金額を決めておくことを禁止しています。

前借金相殺

労働基準法17条は、前借金を毎月の賃金から差し引いて返済させることを禁止しています。前借金とは働くことを条件に、労働者やその家族などが使用者からする借金です。

強制貯金

労働基準法18条は、貯蓄の強制や、労働者の貯蓄額を管理することを禁止しています。ただし、一定の規制のもとに例外が認められています。

不当労働行為

労働組合法7条は、労働組合への非加入や労働組合からの脱退を雇用の条件とすることを禁止しています。

労働条件の変更

(労働契約法第8条)

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就業規則による労働条件変更

(労働契約法第9条第10条)

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就業規則変更の手続き

(労働契約法第11条)

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労働契約と法律等との関係

(労働契約法第12条13条)

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出向・懲戒・解雇

(労働契約法第14条15条16条)

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契約期間中の解雇

(労働契約法第17条)

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無期雇用契約への転換

(労働契約法第18条)

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有期労働契約の更新

(労働契約法第19条)

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