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  • オフィス移転を成功させるためのプロジェクト管理

    オフィスのスムーズな移転を成功させるために、必要な手続き、業者との連携、そしてその他の重要なポイントについて、以下にまとめました。

    移転の全体的な流れとポイント

    移転には、事前の準備から移転後まで、多くのステップがあります。計画的に進めることが重要です。

    移転6ヶ月前~

    移転の目的・コンセプトを明確にする。

    移転先の候補地をリサーチ・選定する。

    予算を策定する。

    移転プロジェクトチームを発足する。

    移転4~3ヶ月前

    移転先の物件を決定・契約する。

    引越し業者、内装工事業者、通信事業者などの選定・打ち合わせを開始する。

    旧オフィスの解約通知を行う。

    社員への移転告知を行う。

    移転2~1ヶ月前

    各種手続き(住所変更登記、税務署への届出など)を開始する。

    名刺、封筒、ウェブサイトなどのデザイン変更・発注を行う。

    社員に荷物の整理・梱包方法を指示する。

    移転先のレイアウトを確定し、内装工事を開始する。

    移転1週間前~

    荷物の梱包・整理を進める。

    電話・インターネット回線の切り替え確認を行う。

    移転当日のタイムスケジュールを最終確認する。

    移転当日

    引越し業者と連携し、荷物の搬出・搬入を行う。

    社員が各自の荷物を整理し、業務を開始できる状態にする。

    移転後

    取引先や顧客への移転案内を送付する。

    旧オフィスの原状回復工事を進める。

    各種手続きの完了を確認する。

    業者選定・連携における注意点

    引越し業者をはじめ、多くの業者と関わることになります。以下の点に注意して、スムーズな連携を心がけましょう。

    業者選定

    相見積もりを取る: 複数の業者から見積もりを取り、料金だけでなく、サービス内容、実績、対応の丁寧さを比較検討する。

    実績を確認する: オフィス移転の実績が豊富で、信頼できる業者を選ぶ。

    打ち合わせの機会を設ける: 実際に担当者と話し、こちらの要望をどこまで汲み取ってくれるか、コミュニケーションがスムーズかを確認する。

    業者との連携

    明確な指示: 移転する物品、レイアウト、希望するスケジュールなどを具体的に、明確に伝える。

    担当者を決める: 業者との窓口となる担当者を社内で決め、連絡の一元化を図る。

    現場での確認: 移転当日には、業者と協力して、荷物の搬入・搬出状況を都度確認する。

    住所変更に伴う必要な手続き

    多くの官公庁や金融機関などへの届出が必要です。抜け漏れがないように、チェックリストを作成することをおすすめします。

    法務局: 会社の住所変更登記

    関連記事:会社の本店住所を変更する場合は「本店移転登記」が必要です

    税務署・都道府県税事務所: 異動届出書

    年金事務所・ハローワーク: 労働保険、社会保険の事業所所在地変更届

    銀行・金融機関: 法人口座の住所変更

    その他:

    許認可を受けている官庁への届出

    電気・水道・ガスなどの使用開始手続き

    取引先、顧客への連絡

    ウェブサイト、名刺、封筒などの記載事項変更

    その他のポイント

    ITインフラの移転

    オフィス移転に伴うITインフラ(パソコン、Wi-Fi設備、ネットワークなど)の移転は、移転直後から正常に稼働することが前提なので非常に重要なポイントです。

    関連記事:オフィス移転ではITインフラの移転が重要なポイント

    社員への配慮

    移転は社員にとっても大きな変化です。移転の目的やメリットを共有し、新しいオフィスへの期待感を高めることが大切です。移転記念品の配布や、新オフィスでの簡単な立食パーティーなどが考えられます。

    関連記事:オフィス移転記念の社内イベントはどうするか?

    なお、引っ越し作業はなるべく業者に委託して、社員が慣れない作業で怪我などしないように配慮しましょう。

    関連記事:オフィス移転作業を従業員に手伝わせるときの注意点

    レイアウトの工夫

    移転を機に、社員のコミュニケーションが活性化するようなレイアウトを検討するのも良いでしょう。

    関連記事:新オフィスのレイアウトはどのようにしてプランをまとめればよいでしょうか?

    神事の手配

    オフィスの移転に際して、事業の繁栄を祈願するために神事を行う企業もあります。神事としては、入居清祓(にゅうきょきよはらい)です。 新しいオフィスに入る前に、場を清め、今後の安全と事業の繁栄を祈願します。

    神事は、地元の神社に相談するのが一般的です。予算や規模に応じて、神主さんと相談して内容を決めます。

    不用品の処分

    移転は、オフィス内の不要な物品を整理する良い機会です。業者に依頼して、適切に処分しましょう。


    上記は一般的な流れとポイントです。会社の規模や事業内容によって、必要な手続きや注意すべき点が異なる場合があります。

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  • 今日からできる!議事録作成のポイントとサンプル集

    議事録とは何か?

    議事録とは、会議の進行過程、議論の内容、決定された事項などを正確に記録した文書です。単に会議のメモとしてだけでなく、以下のような重要な役割を果たします。

    • 会議内容の記録: 参加者が後から会議の内容を確認したり、欠席者に内容を共有したりするための記録として機能します。
    • 決定事項の証拠: 会議で決定された事項や合意内容を明確にし、将来のトラブルを防止する法的な証拠となります。
    • 意思決定のプロセスの可視化: なぜその決定に至ったのか、どのような議論があったのかというプロセスを記録することで、意思決定の透明性を高めます。

    一般的な議事録の作成においても注意すべき点は多々ありますが、法律に基づいて作成しなければならない議事録は特に注意が必要です。

    議事録作成に生成AIを利用する際の注意点

    生成AIは議事録作成の強力なツールとなりますが、いくつかの注意点を守ることで、その効果を最大限に引き出すことができます。

    1. 入力データの質を確保する

    AIが作成する議事録は、入力する音声データやテキストデータの質に大きく依存します。

    • 録音環境: 雑音の少ない静かな場所で録音しましょう。マイクは話者に近づけて、クリアな音声が拾えるように工夫してください。
    • 発言の明確化: 発言者が複数いる場合は、誰が何を話しているのかがわかるように、可能であれば発言の前に名前を言うなどのルールを設けると、AIが話し手を識別しやすくなります。
    • 専門用語や固有名詞: 会議で専門用語や社内の固有名詞が多く使われる場合は、事前に用語集や参加者リストをAIに提供しておくと、誤変換が減り、より正確な議事録を作成できます。

    2. 出力結果を必ず確認する

    生成AIは完璧ではありません。誤認識や不自然な言い回し、文脈の誤解釈などが含まれる可能性があります。

    • ファクトチェック: 特に決定事項、数値、日時、担当者名など、重要な情報は必ず人間が確認し、事実と合っているかチェックしましょう。
    • 議事録の趣旨: AIが生成した議事録が、会議の主要な論点や結論を正確に反映しているか確認してください。時には、AIが詳細な議論を拾いすぎることで、重要なポイントが埋もれてしまうこともあります。必要に応じて要約を編集し、見やすく整理しましょう。

    3. セキュリティとプライバシーに配慮する

    会議内容には、社外秘の情報や個人情報が含まれる場合があります。

    • 利用するAIツールの選定: 企業向けのセキュリティ対策が施されたAI議事録ツールを利用するなど、セキュリティが担保された環境でAIを活用しましょう。無料の一般向けツールに機密情報を入力するのは避けてください。
    • 情報の取り扱い: 誰が議事録にアクセスできるか、データはどのように保存・管理されるかを事前に確認し、情報漏洩のリスクを最小限に抑えましょう。

    これらのポイントを意識して生成AIを活用することで、議事録作成の時間を大幅に削減し、より質の高い会議運営につなげることができます。

    議事録ごとの作り方

    議事録とは、会議で議論された内容や決定事項をまとめた記録書類のことです。法律で作成を義務付けられた議事録もあります。

    株主総会議事録の書き方

    取締役会議事録の書き方

    監査役会議事録の書き方

    安全衛生委員会議事録の書き方

    労働時間等設定改善委員会の議事録のサンプル

    その他会議の議事録の書き方

    監査報告書の書き方

    取締役と監査役の就任承諾書

    議事録のサンプル

    取締役会議事録のサンプル

    監査役会議事録のサンプル(監査役会議事録の書き方)

    取締役と監査役の就任承諾書のサンプル

    監査報告書のサンプル(監査報告書の書き方)

    安全衛生委員会議事録のサンプル(安全衛生委員会議事録の書き方)


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  • テレワークのためにパソコンを貸与しますがどのように管理すればよいでしょうか?

    テレワークをするにはパソコンはほぼ必須です。従業員の私物パソコンを仕事に使わせるのはリスクが大きいのでやめましょう。会社のパソコンをテレワークする従業員に貸与する場合の注意事項を考えみました。

    パソコン貸与の注意点

    誓約書や預り証を出してもらう

    テレワークでのPC貸与にあたり、誓約書や預り証へのサインを求めることは、情報セキュリティを守る上で多くの企業で行われている一般的な対応です。これにより、PCの管理責任の所在を明確にし、紛失や破損などのトラブルを未然に防ぐことができます。トラブル時の責任を明確にするだけでなく、社員にセキュリティ意識を促すためにも有効な手段と言えるでしょう。

    誓約書や預り証に記載される主な内容

    誓約書や預り証には、主に以下の項目を記載することが多いです。これらの項目を明確にすることで、社員にPCの管理責任を自覚してもらう効果も期待できます。

    • PCの管理責任の所在:PCは会社の資産であり、社員は善良な管理者として扱う義務があることを明記します。
    • 利用目的の限定:PCは業務にのみ使用し、私的な利用は禁止することを定めます。これにより、情報漏洩やウイルス感染のリスクを減らすことができます。
    • 紛失・盗難・破損時の対応:万が一、PCを紛失、盗難、または破損させてしまった場合の報告義務や、場合によっては社員に弁償を求める可能性について記載します。
    • セキュリティ対策の義務:会社が指定するセキュリティソフトの導入、パスワードの厳重な管理、PCの物理的な施錠など、社員が講じるべきセキュリティ対策を定めます。
    • 返却時の義務:退職時や異動時など、PCを会社に返却する際の条件や、データの完全消去義務などを記載します。

    誓約書の例

    以下ははあくまで一般的な例です。会社等の業務内容やセキュリティポリシーに合わせて、内容を適宜修正・追加してください。

    パソコン貸与誓約書

    〇〇株式会社(以下「甲」という)と従業員〇〇〇〇(以下「乙」という)は、甲が乙に貸与するパソコン(以下「貸与品」という)に関して、以下の通り誓約します。

    第1条(目的)

    乙は、貸与品を甲の業務遂行のためにのみ使用し、私的な目的で使用しないことを誓約します。

    第2条(管理責任)

    1. 乙は、善良なる管理者として貸与品を適正に管理し、紛失、盗難、破損等がないよう万全の注意を払うものとします。
    2. 貸与品を第三者に譲渡、貸与、または使用させることはできません。
    3. 乙は、貸与品の物理的なセキュリティを確保するため、施錠可能な場所に保管する等の措置を講じます。

    第3条(情報セキュリティ)

    1. 乙は、貸与品に保存されている情報およびアクセスできる情報について、機密保持義務を負うものとします。
    2. 乙は、甲の指示に従い、貸与品に指定されたセキュリティソフトウェアを導入し、常に最新の状態に保つものとします。
    3. 乙は、貸与品のパスワードを厳重に管理し、定期的に変更するものとします。
    4. 乙は、業務に関係のないソフトウェアのインストール、または不審なウェブサイトへのアクセスを行わないものとします。

    第4条(報告義務)

    乙は、貸与品の紛失、盗難、破損、または情報漏洩の可能性がある事象が発生した場合、直ちに甲に報告し、甲の指示に従うものとします。

    第5条(弁償義務)

    乙が故意または重大な過失により貸与品を紛失、盗難、または破損させた場合、甲が定める金額を弁償する義務を負うものとします。

    第6条(返却)

    1. 乙は、甲からの返却要求があった場合、または退職・異動等により業務遂行に貸与品が不要となった場合、速やかに貸与品を甲に返却します。
    2. 返却時には、貸与品に保存されているデータをすべて削除し、甲に返却できる状態にすることを誓約します。

    上記に定める事項を遵守することを誓約します。

    年 月 日

    (甲)

    〇〇株式会社

    代表取締役 〇〇 〇〇            印

    (乙)

    所属部署       

    氏名                     印

    パソコン預り証

    総務部長殿

    私は、以下の通り、貴社より業務遂行のためのパソコンを借用しました。

    本預り証記載の機器について、紛失、盗難、破損等のないよう、責任をもって管理いたします。

    【貸与品情報】

    • 機器の種類: ノートパソコン
    • メーカー名: 〇〇
    • 機種名: 〇〇
    • 製造番号: 〇〇〇〇〇〇〇〇
    • その他付属品: ACアダプター、マウス、外付けマイク

    【確認事項】

    • 上記機器は、当社の情報セキュリティポリシーに従い、業務目的のみに使用します。
    • 機器の紛失、盗難、破損、その他異常が発生した場合は、速やかに総務部へ報告します。
    • 退職時や異動時等、返却が必要となった際には、速やかに総務部へ返却します。

    年 月 日

      所属部署                

    氏名                 印

    その他の一般的な措置

    誓約書や預り証以外にも、以下のような措置を講じる企業が多く見られます。

    1. セキュリティ教育の徹底

    社員に対し、情報セキュリティに関する定期的な研修を実施します。これにより、PC利用におけるリスクや適切な対応方法を理解させ、社員自身のセキュリティ意識を高めます。

    2. リモートでのPC管理

    会社からリモートでPCの状態を管理できるツールを導入します。これにより、セキュリティパッチの適用状況やウイルス感染の有無などを遠隔で監視し、不審な挙動があった場合には迅速に対応できます。

    会社のPCをリモートで管理するツールは、目的に応じて様々な種類があります。高度なIT資産管理やセキュリティ対策を目的とする場合は、ある程度の知識やベンダーのサポートが必要になることもありますが、勤怠管理や遠隔操作といった限定的な目的であれば、専門知識がなくても簡単に導入・運用できるツールが多数存在します。

    自社の目的(何を確認したいか、どんな対策をしたいか)を明確にし、それに合ったツールを選ぶことが重要です。多くの製品で無料トライアルが提供されているので、まずは実際に試してみることをお勧めします。

    3. PCの機能制限

    業務に関係のないソフトウェアのインストールを禁止したり、USBポートの使用を制限したりすることで、情報漏洩のリスクを減らす対策です。

    このことについても誓約書による意識づけは重要ですが、技術的な制限を組み合わせることで、より確実で強固なセキュリティ対策を実現できます。

    特に、PCのユーザーアカウントを「標準ユーザー」に設定し、アプリケーションのインストールやシステム設定の変更に必要な「管理者権限」を付与しない方法は、多くの企業で実施されている最も基本的な対策の一つであり、テレワーク環境でもPCのセキュリティを維持する上で非常に有効です。

    また、IT資産管理ツールを導入すれば、ソフトウェアのインストールやUSBポートの利用制限だけでなく、セキュリティパッチの適用状況の管理など、多岐にわたるセキュリティ対策を効率的に実施できます。


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  • テレワークにかかる費用を会社はどのくらい負担すればよいか?

    テレワークにかかる費用負担の考え方

    テレワークを導入する際、会社と従業員の費用負担のルールを明確にすることは、トラブル防止のために非常に重要です。ここでは、主な費用項目と、それぞれの負担の考え方について解説します。

    パソコン、周辺機器(初期費用)

    • 考え方:業務のために必要なPCやモニター、ヘッドセットなどは、原則として会社が支給するのが一般的です。従業員の私物PCを使わせることもありますが、情報漏洩などのセキュリティリスクが高まるため、会社支給を推奨します。
    • ポイント:
      • オフィスで使用している備品をそのまま持ち帰って利用する、という方法も検討できます。
      • 会社が備品を支給することで、セキュリティ対策も一元管理できます。

    通信費、電気代(ランニングコスト)

    • 考え方:自宅のWi-Fi通信設備や照明器具、パソコン用の電源等を業務に使うことになります。普段は家にいない人が家にいることになるので、夏場のエアコンや冬場の暖房費は想定外に多くなるかもしれません。それらの費用を正確に算出しようとすれば計算が大変煩雑になります。そのため、多くの企業では、実費精算ではなく、これらの費用をまとめて「テレワーク手当」として定額を支給する方法を採用しています。この方法が、管理がシンプルで、従業員の公平感も保ちやすいからです。
    • 手当の金額目安:通信費や電気代、燃料代など、業務で増加するコストを想定して算出します。
    • 注意点:
      • この手当は、給与として扱われる可能性が高いため、所得税や社会保険料の算定対象となることがあります。(要:税理士相談)
      • 支給額を決定する際は、この点を踏まえて検討する必要があります。

    3. 家具(机・椅子など)の費用

    • 考え方:従業員が自宅にある家具を使用する場合は、特に会社からの費用負担は生じないケースが多いです。しかし、健康面への配慮から、オフィスチェアやデスクを会社が提供する、または購入費用の一部を補助する制度を設ける企業も増えています。
    • ポイント:
      • 従業員が快適に働ける環境を整えることは、生産性向上にもつながります。

    4. 外部の作業場所を利用する費用

    • 考え方:住宅環境あるいは個別事情によって、自宅で業務を行うのが困難な場合もあります。その場合、コワーキングスペースやサテライトオフィスなど、会社が指定する場所を業務のために利用することがありますが、その利用料は会社が負担するのが妥当です。
    • ポイント:
      • 事前に利用可能な場所や費用の上限などを明確に定めておきましょう。

    5. 通勤手当

    • 考え方:一時的臨時的なテレワークは別ですが、テレワークが通常体制になれば出社する日が減るため、通勤手当は見直す必要があります。定期券の支給を停止し、実際に出社した日のみの交通費を実費精算する方法が、最も公平で無駄がない方法です。
    • ポイント:
      • 就業規則に、テレワーク時の通勤手当に関する規定を明確に記載し、従業員に周知することが不可欠です。

    ルール策定のポイント

    テレワークにおける費用負担については、以下の点を就業規則に明記することが最も重要です。

    • 費用負担の項目ごとに、会社と従業員の負担範囲を明確にする。
    • ランニングコストは「テレワーク手当」として定額を支給する。
    • 通勤手当は、テレワーク日数を考慮した実費精算に切り替える。

    これらのルールを定めることで、従業員が安心してテレワークに取り組める環境を整えることができます。


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  • テレワークを導入する企業が準備することと実施上の注意点

    テレワーク(在宅勤務)を導入したい会社が、導入をスムーズに進めるために、準備すべきこと、スケジュール、注意点をまとめて解説します。

    テレワーク導入準備

    テレワーク導入までに準備すべきこと

    テレワークを円滑に開始するためには、以下の3つの側面から準備を進める必要があります。

    環境面の準備

    通信環境: 従業員の自宅に安定したインターネット回線があるかを確認します。必要に応じて、モバイルWi-Fiルーターの貸与なども検討します。

    PC・周辺機器: 社用のノートPCを貸与するのが基本です。在宅勤務での作業効率を上げるために、Webカメラ、ヘッドセット、モニター、マウスなどの貸与も考慮しましょう。

    セキュリティ対策: 会社支給のPCには、ウイルス対策ソフトの導入、PCのロック機能(パスワード設定)、リモートアクセス時のVPN(仮想プライベートネットワーク)設定を徹底します。

    作業スペースの確保: 従業員が自宅で業務に集中できる、適切な作業スペースを確保できているか確認します。

    制度面の準備

    就業規則の改定: テレワーク勤務に関する規定を就業規則に追加します。具体的には、対象者の範囲、勤務時間、休憩時間、勤怠管理の方法、費用負担(電気代・通信費など)について定めます。

    テレワークにおける労務管理上の問題点

    テレワークのためにパソコンを貸与しますがどのように管理すればよいでしょうか?

    テレワークにかかる費用を会社はどのくらい負担すればよいか?

    テレワーク勤務規程(サンプル)

    勤怠管理の方法: タイムカードに代わる勤怠管理システム(勤怠管理アプリやクラウド型システム)を導入し、正確な労働時間を把握できるようにします。

    人事評価制度の見直し: 業務プロセスを可視化し、成果を重視した評価制度への見直しを検討します。

    費用負担: テレワークにかかる費用(通信費、光熱費など)のルールを明確にし、就業規則に記載します。

    運用面の準備

    コミュニケーションツール: 社内連絡や情報共有のために、チャットツール(Slack、Teamsなど)、Web会議ツール(Zoom、Google Meetなど)を導入します。

    情報共有体制: 紙ベースでの書類管理から脱却し、クラウドストレージ(Google Drive、OneDriveなど)を活用した情報共有体制を構築します。

    教育・研修: テレワークで働く従業員向けに、ツールの使い方やセキュリティ意識を高めるための研修を実施します。

    準備のスケジュール(3ヶ月モデル)

    導入までに3ヶ月程度の期間を見込むと、スムーズに進められます。

    期間実施内容
    1ヶ月目計画・調査フェーズ・テレワーク導入の目的と目標を明確化・対象者の選定とヒアリング(自宅の環境など)・必要な備品やツールの洗い出し・就業規則の見直し、規程の作成に着手
    2ヶ月目準備・整備フェーズ・就業規則の改定と社内周知・必要なPC、周辺機器、ツールの購入・設定・勤怠管理システムやコミュニケーションツールの選定・導入・セキュリティ対策の実施(VPN、ウイルス対策ソフトなど)
    3ヶ月目試験運用フェーズ・対象者向けにテレワークに関する研修を実施・少人数で試験的にテレワークを開始・運用上の課題や問題点を洗い出し、改善・本格導入に向けた最終調整

    テレワーク導入時の注意点

    コミュニケーション不足: 在宅勤務では、対面での何気ない会話が減り、コミュニケーション不足に陥りがちです。定期的なオンラインミーティングの実施や、雑談用のチャットチャンネルを設けるなど、意識的なコミュニケーションの機会を作りましょう。

    情報セキュリティ: 紙の書類を自宅に持ち帰らない、私用PCを使わない、会社の機密情報を共有ツール以外で扱わないなど、情報漏えいを防ぐためのルールを厳格に定めます。

    労働時間の管理: テレワークでは、従業員が働きすぎたり、逆にサボってしまったりする懸念があります。勤怠管理を徹底するとともに、適度な休憩を促すなど、従業員の健康管理にも配慮しましょう。

    不公平感の解消: テレワーク導入の対象が一部の従業員に限られる場合、不公平感が生じることがあります。対象者の選定基準を明確にし、社内で丁寧に説明することが重要です。

    これらの準備と注意点を踏まえることで、従業員が安心して働けるテレワーク環境を構築できるはずです。まずは、対象者となる従業員と密にコミュニケーションを取りながら進めていくことをお勧めします。


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  • クラウド業務ソフトとはどういうものか?おさえておきたい基本を解説

    クラウド業務ソフトの基本的な説明と、事務所に導入することのメリットを分かりやすく解説します。

    あわせて、給与計算や確定申告といった人事・労務・経理系の業務ソフトがクラウド化された時期と、現在の代表的なクラウド業務ソフトの種類・製品について整理してご説明します。

    クラウド業務ソフトとは?

    クラウド業務ソフトとは、インターネットを通じて利用する業務用ソフトウェアのことです。

    従来のようにPCにソフトをインストールするのではなく、Webブラウザからアクセスし、クラウド上のサーバーにあるソフトを利用します。

    経理・会計、給与計算、勤怠管理、労務管理、販売管理、顧客管理(CRM)、税務申告など、ほぼすべての業務に対応するクラウド型ソフトがあります。

    クラウド業務ソフトの普及時期

    初期(2007年〜2012年ごろ)

    • 2007年:「弥生会計オンライン」など、PCインストール型のソフトがクラウド対応を一部始めた。
    • 2012年ごろ: freee や マネーフォワード など、完全クラウド型の会計ソフトが登場。
    • この頃から中小企業・個人事業主を中心に、クラウドソフトの利用が広まり始めた。

    本格普及(2015年〜)

    • スマートフォンやタブレットでも操作可能なクラウド業務ソフトが増加。
    • マイナンバー制度(2016年施行)の導入により、個人情報の安全な管理が求められ、クラウド対応が急速に進んだ。
    • 特に、freee、マネーフォワード、弥生、SmartHR などが台頭。

    事務所にクラウド業務ソフトを導入するメリット

    ① 場所を問わず仕事ができる

    • 自宅・出張先・サテライトオフィスなど、どこからでもアクセス可能
    • テレワークや営業担当のモバイルワークにも対応しやすい

    ② 法改正にすぐ対応

    • 社会保険料率や税制、電子帳簿保存法などの改正にも自動でアップデート対応
    • 法令遵守(コンプライアンス)に強くなる

    ③ バックアップ・セキュリティが強固

    • クラウドベンダーが自動でデータを複数拠点にバックアップ
    • 専門的なセキュリティ対策が施されており、自社でのサーバー管理が不要

    ④ 複数人で同時に作業できる

    • 経理・人事・上司など、複数担当者がリアルタイムにデータを共有・更新可能
    • 申請・承認の流れもスムーズに

    ⑤ システム保守・管理の手間が減る

    • ソフトのインストール・更新・バグ修正などが不要
    • IT部門や外注管理の負担が軽減

    ⑥ コスト管理がしやすい

    • 月額・年額でのサブスクリプション方式
    • 初期投資を抑えて導入でき、不要になれば解約も可能

    導入をおすすめするケース

    • ✅ テレワークや外勤が多い
    • ✅ 給与や人事、経理の手作業が多く属人化している
    • ✅ システム更新・保守の負担が大きい
    • ✅ 拠点が複数あり、情報を一元管理したい
    • ✅ 法改正のたびにマニュアル対応が大変

    代表的クラウド業務ソフト

    以下の各業務分野についてクラウド業務ソフトを3つずつ紹介します。ほかにも優れたクラウド業務ソフトがたくさんあります。

    【1】人事・労務管理システム

    入社手続き、雇用契約、労務管理、年末調整などをクラウドで完結。

    ソフト名特徴評判・おすすめポイント
    SmartHR入退社手続、雇用契約、年末調整をWebで完結UIが非常に分かりやすく、サポートが丁寧。法改正対応が迅速。
    jinjer人事組織管理、従業員データの一元化に強い人事管理機能に特化。グループウェア的な利用も可能。
    マネーフォワードクラウド人事管理給与や勤怠と同一基盤で連携可能他のマネーフォワード製品との統合管理が可能で効率的。

    【2】給与計算ソフト

    毎月の給与計算、賞与、社会保険料、年末調整まで一元管理可能。従業員のマイページから明細確認も。

    ソフト名特徴評判・おすすめポイント
    マネーフォワードクラウド給与勤怠・人事と連携して計算を自動化会計との親和性が高く、経理部門とも連携しやすい。
    freee人事労務(給与計算機能含む)オールインワン型の給与+労務非会計職でも扱いやすいシンプル設計。
    jinjer給与jinjer勤怠・人事との連携が前提システム統一でコストパフォーマンスが高い。使いやすい設計。

    【3】勤怠管理システム

    打刻から勤怠集計まで。給与計算や労務ソフトと連携。スマホ打刻・ICカード対応。

    ソフト名特徴評判・おすすめポイント
    KING OF TIME国内最大手、打刻方法の選択肢が豊富100人以上でも安定稼働。機能の拡張性が高い。
    ジョブカン勤怠管理シンプル操作で多機能。コストも抑えめ中小〜中堅企業に人気。導入しやすさが強み。
    jinjer勤怠人事・給与と連携しやすい勤怠の他、工数管理・残業管理も標準対応。デザイン性も高評価。

    【4】会計・経理ソフト

    仕訳・帳簿作成・決算書の自動化。会計事務所との共有も容易。

    ソフト名特徴評判・おすすめポイント
    マネーフォワードクラウド会計自動仕訳・決算書作成・銀行連携中堅企業にも対応可能な柔軟性と操作性。
    freee会計簿記知識がなくても直感操作ベンチャー・新興企業に強み。視覚的にわかりやすいUI。
    弥生会計 オンライン(クラウド)会計処理の自由度が高く、慣れている人向け会計事務所との親和性が非常に高い。

    【5】税務申告・年末調整サポート

    青色・白色申告に対応。銀行口座やクレカと自動連携し、帳簿作成を効率化。e-Tax対応。

    ソフト名特徴評判・おすすめポイント
    MagicTax(マジックタックス)法人税・消費税申告書を自動作成会計ソフトと連携し、税務申告を効率化。税理士との共有も可。
    A-SaaS(エーサース)会計事務所向けのクラウド型税務ソフト会計士・税理士の利用も多く、外部連携に強い。
    達人シリーズ(NTTデータ)オンプレ/クラウド混在信頼性高く、税理士事務所にも浸透クラウド対応も進んでおり、法定調書・申告ソフトの定番。

    【6】オールインワン型(総合パッケージ)

    ソフト名特徴評判・おすすめポイント
    freee for ビジネス会計・給与・人事・勤怠すべて一元管理バックオフィス全体を効率化。中小〜中堅企業にも対応。
    マネーフォワードクラウド(スイート)各機能がモジュール型で連携自在必要な分だけ導入可能。会社の成長に合わせて拡張できる。
    jinjerシリーズ(統合)人事・勤怠・給与を一つの画面で管理一体感のある操作性とUI。モバイル対応も良好。

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